年金と聞くと受給対象者は年配者と思われる人もいるかもしれませんが、障害年金は違います。20歳から申請が可能な公的年金なため、若い人でも受給できる年金制度です。年金に対するイメージとちょっと異なるかもしれません。
そのため若い人が知らないことも結構ある障害年金、詳しく調べてみる必要があると思いませんか?
今回の記事では、障害年金の制度や受給資格、申請方法と貰える金額について詳しく解説していきます。
障害年金とは
障害年金とは、病気やケガによって生活や仕事に制限される場合に、受け取ることができる年金のことです。障害年金には「障害基礎年金」と「障害厚生年金」の2種類があり、それぞれ条件や金額も異なる年金になります。
どちらの対象になるかは選ぶというよりも、初診日に何の年金制度に加入していたかにより決定します。
初診日とは、障害年金を請求する病気やけがで最初に病院に行った日のことを指しています。また日本には雇用保険以外にも働かずに給付金がもらえる制度があります。
詳しくはこちらも確認してみてください。
働かなくても給付金がもらえる??雇用保険とは?受給資格は?申請方法は?いくら貰えるの?
働かなくても給付金がもらえる??傷病手当金とは?受給資格は?申請方法は?いくら貰えるの?
・障害基礎年金の対象者 初診日に国民年金に加入してた人、20歳未満の国民年金加入前の人、60歳以上65歳未満(年金制度に加入していない期間で日本に住んでいた間)の間に障害が発生した人 |
・障害厚生年金の対象者 初診日に厚生年金に加入してた場合 初診日から5年以内に病気やケガが治り、障害厚生年金を受給するよりも軽い障害が残ってしまった場合は、障害手当金を受給することができます。 |
障害年金の受給資格
それでは障害年金の受給資格を確認していきましょう。文字通り病気や傷害のある人のための年金だということは分かりますが、どのような障害の種類が該当するのでしょうか。
障害の種類
精神障害、知的障害、てんかん、目の障害、聴覚障害、言語機能障害、手足の障害、呼吸器疾患障害、心疾患障害、腎疾患障害、肝臓疾患障害、血液障害、糖尿病、がん、高血圧など障害の種類は様々です。
障害の状態は人によって異なります。この障害の程度によって等級が決められていくのです。
等級の種類
等級は、障害基礎年金は1~2級、障害厚生年金は1~3級まであります。
等級 | 状態 |
1級 | 身のまわりのことはかろうじてできるが、日常生活では、他人の助けが必要な状態 |
2級 | 自宅で軽食を作ったり洗濯はできるが、日常生活には困難もあり、仕事を行い収入を得るのが難しい状態 |
3級(障害厚生年金のみ) | 仕事に著しい制限を受けている状態 |
この等級により受給される金額も異なってきます。
障害年金の受給に必要な条件
国が定めた障害認定基準委該当すること以外にも、障害年金を受給するには4つの条件をクリアする必要があります。
・初診日が特定できる 初めて医師に診断を受けた日を特定るする必要があります。カルテや障害者手帳、医師の診断書などの書類により証明することができます。知的障害に関しては、出生日が初診日です。また発達障害に関しては、幼少期から症状があったとしても医師の受信をした日が初診日となります。 |
・保険料が納付されている 保険料が納付されていることが条件になります。「初診日の前日時点で、初診日の前々月までの年金加入月数の3分の2以上が納付済みまたは免除されている場合」「初診日の前日時点で、初診日の前々月までの年金加入月数の12カ月すべて保険料が納付済みまたは免除されている場合」どちらかの条件を満たしていれば納付されているとみなされます。 もし分からない場合は、年金事務所に問い合わせると確認することができます。 |
・20歳から64歳まで 障害年金の申請時の年齢が20歳から64歳までであることが必要です。ただ65歳以上であっても例外もあります。 |
・一定の障害状態である 一定の障害状態を証明するには、初診日から1年6カ月が経過している必要があります。1年6カ月の間、治療を行っても治らないような障害を障害年金とするという考えがこの条件の意味になります。ただ例外により申請が行われるケースもあるので、注意してください。 |
万が一不正受給を行うと罰則もあるので注意してください。詳しくはこちらにも記載しています。
障害年金の申請方法
条件がクリアになれば次は申請になります。申請手続きの窓口は、障害基礎年金だと住んでいる市区町村の窓口、障害厚生年金だと年金事務所で手続きを行います。もし本人が障害で手続きが困難な場合は、家族や代理人が行うことも可能です。
必要書類
必要書類も障害基礎年金と障害厚生年金とでは異なります。どちらも非常に多くの書類が必要です。
「障害基礎年金の必要書類」 ・年金請求書 ・基礎年金番号の分かるもの ・世帯全員の住民票 ・医師の診断書 ・受診状況等診断書 ・病歴・就労状況等申立書 ・銀行普通口座の分かるもの ・印鑑 ・20歳前障害の場合は請求者本人の所得証明書 ・持っている場合は障害者手帳※18歳到達年度末までも子供がいる場合や20歳未満で障害のある子供がいる場合の追加書類 ・戸籍謄本 ・子の収入が確認できる書類(義務教育中は不要、高校生の場合は在学証明書) ・20歳未満で障害のある子供の場合は診断書 |
「障害厚生年金の必要書類」 ・年金請求書 ・基礎年金番号の分かるもの ・世帯全員の住民票 ・医師の診断書 ・受診状況等診断書 ・病歴、就労状況等申立書 ・銀行普通口座の分かるもの ※18歳到達年度末までも子供がいる場合や20歳未満で障害のある子供がいる場合の追加書類 ・戸籍謄本 ・配偶者の収入が確認できる書類 ・子の収入が確認できる書類(義務教育中は不要、高校生の場合は在学証明書) ・20歳未満で障害のある子供の場合は診断書 |
以上の書類が揃ったら窓口へ提出を行いに行きましょう。提出する前に面倒でも「書類のもう一度確認」「念のためのコピー」を必ず行ってください。提出すると無くなってしまうような書類は、念のためコピーをすべて取っておっくと後々助かることもあります。
障害年金のもらえる金額は?
障害年金のもらえる金額は状況に応じて変わってきます。先ほどの等級や、子供の人数で金額が異なるのです。また年度によって金額が若干異なることもあります。さらに障害厚生年金では、加入月や給料の金額によっても額が変化してきます。
障害基礎年金の場合(2019年度) 1級の場合の年額=975,125円(月額:81,260円)+子の加算額 2級の場合の年額=780,100円(月額:65,008円)+子の加算額 |
1級の年額は2級の1.25倍で設定されています。
子の加算額
子の数 | 金額 |
1人目、2人目の子 | 1人につき、224,500円(月額18,708円) |
3人目以降の子 | 1人につき、74,800円(月額6,233円) |
早見表
子の有無 | 1級()は月額 | 2級()は月額 |
子がいない | 975,125円(81,260円) | 780,100円(65,008円) |
子が1人 | 1,199,625円(99,968円 | 1,004,600円(83,716円) |
子が2人 | 1,424,125円(118,677円) | 1,229,100円(102,424円) |
子が3人 | 1,498,925円(124,910円) | 1,303,900円(108,658円) |
障害厚生年金の場合
等級 | 支給額 |
1級 | 報酬比例の年金額×1.25+配偶者加給年金+障害基礎年金1級(年間975,125円+子の加算) |
2級 | 報酬比例の年金額+配偶者加給年金+障害基礎年金2級(年間780,100円+子の加算) |
3級 | 報酬比例の年金額(最低保証額585,100円) |
障害手当金 | 報酬比例の年金額2年分(最低保証額1,170,200円)※一時金 |
報酬比例の年金額とは、これまでの給与額や厚生年金の加入月数に応じて支給される年金のことです。
更新の手続きは?
障害年金には「永久認定」と「有期認定」があります。永久認定の場合は手続きは一切必要無く生涯に年金の受給を受けることができますが、有期認定の場合は定期的に障害の状況を報告し更新する必要が出てきます。
多くの人が知っていて欲しい障害年金
障害年金はあまり知られていない年金と言われています。ことが起きてからしばらくして誰かの助言で知る年金のようです。ただ障害で困っている人には重要な制度、安心して生活するためにも、もっと色々な人に認知してほしい制度なのです。
ただ申請書類の多さや大変さから、途中で申請をあきらめてしまう人もいるようです。もし分からないことがあれば社労士に相談して、手続きを行っていくようにしましょう。
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