運送会社に勤めていた30代の友人、急遽会社を辞め転職することになったと相談を受けたのは、今から約15年前のお話です。
運送会社に勤めていた友人はなぜ急に会社を辞めなければいけなくなったのか、10年以上勤めたのにいきなりの退職、そのあとに待っていたのは厳しい現実でした。
今回は、実際に相談を受けたお話を体験談として紹介していきます。
勤めていた会社を辞めた理由
まず彼はどうして会社を辞めてしまったのでしょうか。給料や休みもしっかりとしていたのに急遽辞めてしまった原因から説明します。
不倫が原因
彼が会社を辞めたのは会社に勤めていたパートとの不倫が発覚したためです。お相手は30代の主婦、彼は独り身でしたが、ある日飲んだ後意気投合して不適切な関係を持ってしまったようです。
不倫状態は1年間続いていたある日のこと、携帯電話のメールを旦那に見られたと連絡を不倫相手からうけました。翌日なんとその旦那さんが会社に乗り込んできたそうです。そこで「〇〇出てこい!」と大声で叫ばれ「お前、うちの妻になに手を出してんだ、俺とお前の上司の前で説明しろ」と怒鳴り込んできたのです。
彼はお世話になった上司の前で、不倫関係の説明して土下座をしました。この時会社全員に不倫をしていたと知られてしまったそうです。ひとまず泣いている妻に説得され帰られた旦那さん、残された彼は上司と今後について話し合いました。
「今日は帰って、今後の事を明日話し合おう」そう言われて帰り、自分のしてしまったことを後悔したそうです。そしてその日の内に100万円を持って、不倫相手の家に行きこれで許して欲しいとお願いしました。
もう二度と奥さんには近づかないという誓約書を書いて許しを得たのです。次は勤めていた会社です。翌日恥ずかしくて会社に行くのも辛かったようで、そのことを上司に説明、理解のある上司は近くの喫茶店で話を聞いてくれました。
そこで「ここまで知られてしまったら会社に迷惑が掛かる」と説明し、上司に「冷静に考えろ」と説得されるもすぐに「退職願」を提出したそうです。これが急遽辞めることになった原因なのです。
いきなり無職に
彼は上司の温情で、有給休暇を20日間取得し退職金も減額はされたものの受け取ることができました。ただいきなりの退職だったので、なんの準備もしないまま無職になってしまったのです。
高校を卒業して勤め始めた会社、車の運転とエクセルとワードの操作が少々できる程度のスキル、この状態で何の仕事ができるのだろうと悩みながらも、すぐに複数の転職サイトに登録を行いました。
転職活動の開始
30代で初めての転職活動、応募できるものも限られていましたが、すぐに見つけもう一度やり直すという考えが多分あったのだと思います。
未経験業界の魅力
運送業界一筋で働いてきた彼は、ほかの運送会社に勤めたら、お世話になった前の会社の人たちも申し訳ないという考えもあったそうです。また、自分には18歳から目上の人に気に入ってもらえてた、そのため他の業種でも結果が残せると考えていたそうです。
とにかく次は成功をしたい。そこで給料を沢山もらい、人生をやり直そうと考えていたのです。30代で給料の良い会社、一番に目についたのは営業職でした。ここで彼は営業職という未経験業界への一歩を踏み出いしていくのです。
「30代も活躍中」「未経験者歓迎」「1年目で年収500万円以上の営業マンも多数在籍」このような言葉に夢を見て応募しました。今まで失敗したと言えば今回の不倫ぐらい、仕事ならば何でもできるという過信があったそうです。その時の彼の頭の中には、高額な給料しか見えていなかったのかもしれません。
2回の面接で合格
面接は2回でOKをいただけたそうです。会社を退職して2週間後には次の会社を決めることができた、やはり自分はツイてる!こう思えたと話していました。今まで作業服で勤めていたから背広を着るのが辛いぐらい、そこを我慢すれば何とかなると心配していたのは、服装だけだったそうです。
未経験業界で体験した厳しい現実
理想と現実の違い、彼は転職して1週間でこの現実に悩んだそうです。
先輩はすべて年下
まずは、若い人が多いことに抵抗があったと言っていました。今までも若い人は多かったのですが、自分が知らないことをできている若い人、そして分からないことは聞かないといけない、これに抵抗を感じてしまったそうです。
18歳で社会人になった彼は、いままで分からないことがあったときは自分が年下だから聞きやすかったのかもしれません。さらに人との出会いに恵まれていたのでしょうか、可愛がられて仕事を覚えていったと転職をしてから振り返ることができたと話していました。
未経験業界での仕事は覚えることも沢山あり、ただ営業をすればよいだけではなかった、そんな当たり前のことに気づかされたそうです。彼は転職が決まってからその業界について調べることもしなかったのです。不動産業界に入ったのならば、事前に勉強できることもあったはず、彼は自分への仕事の過信から、その点を怠っていたのかもしれません。
上手くいかない営業
勤めてから1週間で、色々勉強をし覚えていったそうです。転職した会社は、店舗に4人から5人程度しか人がおらず、明らかに人数不足だと感じていたと話していました。
結果、忙しくなると不慣れなのにも関わらず、カウンター営業という未経験の体験をしました。ロープレでもなんでもありません。いきなり実践になってしまったそうです。
分からないことがあっても周りも接客中で聞くことすらできない、上手く説明できないことからお客様が段々と怒っていくのだけが分かる経験をしました。結果30分で帰られてしまったそうです。
彼が勤め始めたのは1月6日から、ちょうど不動産業界の繁忙期と重なっていたのも不運だったのかもしれません。そのため、忙しいなかあまり学ばずに実践を繰り返したといいます。
彼が思い描いていた内容とだいぶ異なった現実、「こんなはずじゃなかったのに」悔しい毎日が続いたのではないでしょうか。きっと自分が犯した不倫を繰り返し後悔していたのかもしれません。
年下店長から怒鳴られる
学んでいないことをやれと言われてもできない、これは彼が持っていた甘えだったと話していました。前職では、周りが優しく教えてくれた、だから「まだ教えてなかった、ごめんね」とできないことも先輩が謝ってくれる、そんな会社にいたのです。
しかし30代を超えた男性に甘い言葉などあるわけがありません。「見て覚えなきゃ成長するわけがないです。そんなことも分からないんですか?今まで私がカウンター営業していた姿を見ていましたか?見て理解して実行してみようという考えがあれば、お客様を簡単に毎回帰すことなどしないはず」と指摘を受けたのです。
そこで誰も教えてくれないという逃げ道を持っていたことを振り返りました。社会人経験があるのに、なんという甘えた考えを持っていたのでしょう。教えてくれるのが当たり前、そんな考えを自分が持っていたと痛感したそうでした。
いけなかった考え方
彼がこの話をしてくれた時は、既に会社を辞めた後でした。営業会社は自分には無理と感じたそうです。失敗談からは何かを学ばなければ意味がありません。今回は何がいけなかったのでしょうか。
自分を過信していた
一番の理由は過信をしていたことでしょう。不倫という失敗を行ったのに謙虚にしていなかった。過ちを認め謝罪をしていましたが、仕事に対する考え方が謙虚でなかったのです。
自分は18歳から社会人になり、失敗せずここまでこれた、これが彼の中に過信として芽生えていたようです。もっと謙虚でおごらずにいれば、事前に勉強をしたりと心構えが変わっていたのかもしれません。
人生が上手くいっていたぶん一度の過ちで転落、その結果それ以外の世界を知らないという現実を分かっていなかったのです。過信が未経験業界に進出するうえで邪魔な感情なのかもしれません。自分が新人からやり直すという意気込みを持っていなければ通用しないのです。
未経験業界への転職は慎重に
未経験業界への転職は慎重に行うことが大事です。彼は不動産業界を止めた後、飲食業界を経験し、最終的にタクシー運転手となりました。
未経験業界への進出はどちらに転ぶか分かりません、だからこそある程度の緊張感が必要なのです。
会社を辞める理由は様々ですが、今の自分に何ができるかをしっかりと考えたうえで、行動をするようにしましょう。
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