MR、医療機器営業というのは、世の中に色々ある職種の中でも非常に年収が高い職種です。加えて、製品の性質上不景気にも強いという特性もあります。
その医療業界の営業職において、CSOと呼ばれる医療業界を専門とした派遣会社がいくつか存在しています。
そのCSOでは経験者はもちろんのこと、未経験者を正社員として採用し、各製薬会社、医療機器メーカーに派遣しているのですが、そのCSOの実態についてお話をいたします。
CSOとは一体どんなもの?
まずは、冒頭でも簡単に説明しましたが、CSOについて改めて説明いたします。
CSOとは、正式名称をContract Sales Organizationといい、「Contract」は契約、「sales」は営業、「Organization」は組織で、営業職種専門に仕事を代行する組織,派遣会社となります。
転じて、製薬会社や医療機器メーカーからの依頼を受けて自社で雇用しているMRや医療機器営業を派遣し、特定の医薬品、医療機器の販売促進プロジェクトに参加させるというサービスを提供している派遣会社を指します。
なお、派遣するMR,医療機器営業職は正社員採用することになりますので、登録型派遣の会社とは大きく異なるということを認識してください。
CSOは医療系どういった存在意義があるのか
ではCSOにはどんな存在意義があるのでしょうか。
元々は製薬会社が新たに販売される医薬品を医師、薬剤師に短期間で広めるために短期間に自社MRを増やす施策としてCSOからMRを派遣してもらうというニーズを満たす存在でした。
しかし、最近はそれだけではなく、医療機器メーカーが、営業職をCSOから採用し、一定期間働いてもらった後にそのメーカーに転籍してもらうという動きもあります。
MR,医療機器メーカーでそれぞれ役割は若干異なりますが、医療系メーカーの人材戦略に役に立っている存在であると言えます。
どんな人がCSOに採用される?
では、どんな人がCSOの営業職として採用されているのかというと、前提として人物、能力が一定基準を満たしている人材ということになりますが、応募要件と
してはおおよそ以下の通りです。
- 業界未経験者は25〜30歳の営業経験者
- 25歳以上のMR,医療機器営業経験者
- 看護師、薬剤師など医療専門に有資格者
CSOは業界営業経験者はもちろんのこと、未経験者でも業界に親和性があり、医療業界で活躍できそうな方を積極的に採用しています。
また、製薬、医療機器メーカーからのニーズによって薬剤師、看護師、放射線技師など医療専門職にしかできない仕事があり、そういった職種案件の採用依頼があれば積極的に採用しています。
医療業界の営業職になりたい、医療専門職の方々が民間企業で働きたいという方のファーストステップになりうる存在と言えます。
CSOで働くメリット
では、CSOで働くメリットはどんな点があるのかというと以下の通りです。
ではそれぞれ説明をしていきたいと思います。
直接採用よりハードルが低い
CSOが顧客にしている派遣先企業は一流メーカーばかりです。そのような一流メーカーに直接雇用で採用されるのは非常にハードルが高くなります。
しかし、転籍前提の案件であれば、その採用ハードルの高い一流メーカーに入社できるチャンスを得られることができます。
CSOからのサポートが受けられる
CSO経由で派遣されると、月に一回くらいのペースで企業担当をしているプロジェクトマネージャーと呼ばれる方と面談をすることになります。
日常で困ったことを相談できるため、その点もメリットであると言えます。
職場が合わなくても転職せずに次の職場に行くことができる
転職して一番困ることは、転職先の会社が合わないことです。そして、短期間で転職すると経歴が増えてしまいますが、CSOの場合だと所属企業は変わりません。
そのため、経歴を汚さずに転職が可能となります。
転勤が原則ない
MRには転職が付き物です。しかし、CSOのMR(コントラクトMRといいます)には転勤が原則ありません。
MR資格を生かして働きたい、転勤したくないというニーズに合わせて働くことができます。
CSOで働くデメリット
では、CSOで働くデメリットはというと以下の通りです。
- 給料が安くなる
- プロジェクトがなくなったら再度面接を受けて合格しなければならない
- プロジェクトがなくなったら待機しなければならない
ではそれぞれ説明を加えていきます。
給料が安くなる
給与はCSOから支払われることになりますが、派遣先企業から支払われるお金に中間マージンを抜かれた形で支払われます。
また、賞与も原則ありません。そのため、給与は直雇用より低めに設定されます。
プロジェクトがなくなったら再度面接を受けて合格しなければならない
転籍できれば良いのですか、できないケースもあります。その場合は、再度別の派遣案件(プロジェクトと呼ばれます)で顔合わせと呼ばれる実質的な面接を受けなければなりません。
この点は非常に面倒でかつ安定しない点となります。
プロジェクトがなくなったら待機しなければならない
もしも、プロジェクトが終了して、次のプロジェクトが見つからなかった場合は、その間は待機期間ということで働けなくなります。その場合も給料は支払われますがその期間は6〜7割程度になります。
この点も雇用の安定性を欠きます。
CSOはこれから医療機器メーカーがメインとなる
上述でお伝えしましたが、元々CSOは製薬会社が新製品の医薬品を短期間で医師や薬剤師に情報提供をすることを目的に採用するのですが、当面大々的に新しい医薬品を売り出す見込みはないと言われています。
加えて、MRの仕事である情報提供はIT化される見込みが高いため、仮にMRのプロジェクトがあっても長期的に働ける見込みがなくなります。
今製薬会社では希望退職を募っていますがそういった側面もあります。
対して、医療機器メーカーのプロジェクトは原則転籍が前提となります。そのため、基本的には転籍を目指しすという形が最善 です。
派遣先の会社で実際に働き、慣れてかつ活躍できる土壌を作った段階で転籍し、成果を出し続け、長期就労ができるようにするためのひとつの選択肢だとお考えください。
まとめ
派遣労働にはいろんな形態の働き方があり、CSOという就労スタイルについて今回ご理解をいただけたのではないかと思います。
確かに、直雇用採用と異なり不安定な部分もありますが、正社員雇用での採用となりますし、なにより直雇用以上のメリットが多いのも魅力です。
特に転籍に関しては非常にメリットが多く、直雇用で入社するのが難しい会社にCSO経由でプロジェクトに参画してそのまま転籍して活躍されているかたも多数いらっしゃいますし、年収も高くなります。
よく、業界経験者も未経験者でも、「派遣」という言葉をつかう求人なので敬遠されるケースも少なくありません。
しかし、大事なことはメリットとデメリットを認識して、より良い働き方を目指すことです。まず、「派遣」という言葉を取っ払って、医療業界の営業職として働くなかで、CSOという働き方も視野にいれ自身の働き方を考えてみていただけたら幸いです。
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