職業訓練という言葉をご存知でしょうか。職業訓練とは、ご存知の方も多くいらっしゃるかと思いますが、厚生労働省が管轄する職業訓練校にて、仕事をする上でに役立つ知識や技能を無料で受講できる制度です。
一方で、職業訓練をうけていなくてもキャリアを構築していく方々がたくさんいらっしゃいます。むしろ、職業訓練を受けた経験のある方の方が少ないのではないでしょうか。では、本当に職業訓練は効果があるのでしょうか、また就職に良い影響を与えてくれるのでしょうか。
本編では職業訓練について説明をさせて頂きたいと思います。
職業訓練とは
職業訓練とは上述でもお伝えしたように、厚生労働省は管轄する職業訓練校において、就職のために必要な技能を習得するもので、正式名称を公的職業訓練・ハロートレーニングといいます。
職業訓練には大きく以下の2つに分かれます。
- 公共職業訓練
- 求職者支援訓練
公共職業訓練とは会社都合で退職し、手続き後即日失業保険を受給している、もしくは自己都合退職により手続後3か月を経過した方をターゲットにした職業訓練です。
対して、求職者支援訓練とは、失業保険を受給している求職者、すなわち自己都合退職後3か月以内、もしくは失業保険の受給期間を経過している求職者を対象とした職業訓練です。
いずれも無料で受講が可能になります。また、この他にも既卒未就労の方や現職の方がスキルアップを目的とした受講も可能となりますが、その場合は有料となります。
利用するにはハローワークの窓口で申し込み手続きを行い、書類選考および筆記試験や面接を受ける必要があります。
では、どのようなコースがあるのかというと、PC講座、設計図を引くときに利用するソフトであるCADの講座、電気・機械の専門知識・資格を取得するための講座な、祖の講座に関して多岐に渡ります。
期間もまたさまざまで3~6カ月程度のものから1年、2年といった年単位のものも存在しています。
では、どうやれば受けられるのかというと、ハローワークで申し込みを行い、面接と試験を受け、合格することです。
まずは上記の概要について認識していただけたらと思います。
職業訓練校の合格と合格基準について
さて、この職業訓練校の合格に関しては、明確な合格基準はありません。しかし、基本的には優秀な人材が採用されることになります。
ここで、1点疑問に思われるかもしれませんが、就職できない人が就職をするために職業訓練を受けるのに、どうして優秀な人材でないと職業訓練を受けられないのかということです。
結論から言えばパフォーマンスの問題です。
職業訓練校を管轄しているのは、ご存知の通り厚生労働省で、その運営資金は税金であったり、失業保険で日々労働者から集めたお金です。そうなると、コストパフォーマンスが合わないものに関しては いわば税金の無駄遣いとなってしまいます。結果、実績を出せない職業訓練校は取り潰しになるということになるのです。
そのため、わざわざ試験と面接を行い、合格不合格を決めているのです。
実は弱いもののための公共の福祉を目的にした公的サービスであるにもかかわらず、実は強者のためのサービスになっているという傾向にあると言えます。
そもそも資格で就職ができるというのは採用市場の実情にも即していない
実はこの職業訓練校に関して、転職市場において実情に即していない点があります。
それは資格=就職に結びついていない点にあります。
というのは、採用市場は資格よりも実務能力や長期的な企業への在籍経験をを優先するということになっているからです。
例えば経理職の方を見てみると分かりますが、簿記1級を取得している経理職未経験よりも、簿記を取得していない経理職経験者のどちらが採用確率が高いのかというと、圧倒的に後者です。
つまり、資格より、圧倒的に実務能力の高い方の方が圧倒的に採用ニーズが多いということになります。
また、職業関連校に通う方々の圧倒的多数は離職者です。離職者である以上、キャリアが中断されているということになりますのでこれも就職に不利に働くことになります。
仮に、採用されたとしても、ブラック企業であったり、ブラック企業とまではいわないものの就労環境が十分でない会社の採用ニーズを満たすケースが圧倒的に多くなります。
ですので、職業訓練校の機能そのものが十分に働いていないということが言えるのです。
‹h2›職業訓練校の講師給与に関して
職業訓練校の講師に関しては、公務員というパターンもありますが、全ての講座を教える講師を全て公務員として採用をするには無理があります。そのため、外部の講師にアウトソーシングを行う形になります。
では、どのくらいの給与がもらえるのかというと歩合制となっています。かつては一人当たり5~6万円×受講人数支払われていました。
参加者が20人いたと仮定すれば、月間100万円以上はもらえるという計算になります。
この金額に関しては、どのようにお考えになるかは自由ですが、個人開業だったと仮定すれば、各種経費はありますが、月間100万円を受け取れる可能性という可能性があります。そしてその財源はもちろん税金です。
そう考えると少し割高にも見えてきます。
ただし、受講人数が少ないとその講座が取り潰しになりますので、ある意味予備校講師みたいな成果主義であるということも言えます。
そのため、職業訓練を生業にしている業者、個人開業の方もいらっしゃるというのが現状です。とはいえ、売り手市場である現状、受講者は減っているので
あまり職業訓練校が機能していない現状もあります。そのため、職業訓練校の委託だけでは食べていられない会社も出てきていると言えます。
職業訓練校の存続にも非常にシビアな状況だと言えます。
第2新卒層には一定の効果がある
さて、職業訓練のマイナスな側面ばかり説明をいたしましたが、それでも職業訓練校で職業訓練を受けた方々が就職においてよい影響を及ぼすケースもあります。
それは、第2新卒層です。
まず、大前提として、今少子高齢化が進んでいて、20代の若手、特に20代前半の採用に困っている会社はたくさんあります。そのためか20代前半の第2新卒をターゲットにしている転職エージェントも存在しています。
とはいえ、内定を獲得して就職に成功する方はエージェント利用者において50%程度です。そのため、他の転職希望者との差別化を図らなければなりません。
その時、職業訓練を受け、資格を取得していることで他の転職希望者より訓練をしやすいという状況が生まれます。
中小企業の場合だと、なかなか会社で研修をする体制ができているわけではないので、有資格者だとOJTがうまくいきやすくなるため資格が有利に働くケースもめずらしくありません。
そのため、職業訓練を受けて就職をするというのであれば、若いうちに受けて頂くことをおすすめいたします。
職業訓練は若いうちに受けると価値があるが十分に機能していない
職業訓練は再就職をするための訓練を国の支援で受けられるという非常に有意義なサービスだと言えますが、問題点が山積しています。そのため、誰にでも有効にきのうするものではありません。もし若いうちに仕事を辞めてしまったのなら是非有効活用していただきたいですが30歳を過ぎた方には有効に機能しない可能性が高いです。
その点を認識して利用していただけたらと思います。
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