一昔前だと、花形就職先として認識されていた銀行員ですが、今はその様相が一変しました。
これからの時代は銀行のみならず、金融の主役になるのはIT,AIで、銀行業務をはじめとする金融業界で働いていた人たちは、段階的に削減されていく運命となっていくでしょう。
事実、三菱東京UFJ、みずほ、三井住友といったメガバンク3行は2018年、2019年から新卒採用数を半数に絞り、希望退職を募っている現状にあります。
加えて、地方銀行では収益等を理由に統廃合が続き、銀行員であり続けたいと願っても、そうすることが難しいという現状にもあります。そのため、銀行員から他の業界へキャリアチェンジを余儀なくされる方もいらっしゃることでしょう。
では、銀行員の方が他の業界、職種にキャリアチェンジをするにあたり、どのような能力が他の業界から評価されるのでしょうか。本編では銀行員が他の業界に行って評価される要素、懸念される要素、および現状の銀行についてどのようになっているのかも合わせて説明をいたします。
銀行の人員削減の現状
今銀行では、段階的に支店の統廃合が行われいます。まだその全貌は発表されてはいませんが、その大枠は各行でほぼ決定していると言われています。
店舗の統廃合が進めば当然管理職のポストが減り、上のポストを目指せる可能性が下がってきます。
また、幹部候補としてキャリアを形成できるかそうじゃないかを判断される年齢というのがかつては35歳くらいといわれていましたが、今は30代前半とキャリアの見極めサイクルも早くなってきています。20代のうちに頭角をあらわせるかどうかが出世において重要なにポイントとになるのです。逆に言えば、30代までに頭角をあらわせていなかった場合、確実に出向・転籍が見えてくるということも同様に言えるのです。
そう考えると銀行員は将来安泰であるとは限らないということになります。
銀行員は転職したら年収が下がるは昔の話
銀行員は、一般的には高給取りであると世の中で認識されています。確かに以前はそうでしたが、その様相は大きく変わってきています。
というのも、日本という国の成長率は急激にあがるわけではないですし、人口も少子高齢化となっているため年々減ってくることになるため、銀行業はもはや成長産業ではありません。しかも、店舗の統廃合が進めばポストも当然限定されてきますのでポストも限られており、ポジションも頭打ちになります。
結果、子会社・関連会社への出向・転籍で賃金は上がらないどころか年をとるごとに年収が下がってくるということにまでなり得ます。
以上のことを考えた場合、自身が上に行けないと思った場合、また銀行の仕事が自分に合わないと思った場合は眼前の年収は下がる可能性はありますが、早いうちに転職をしていくのも1つの手であると言えます。
銀行での就労経験が転職にどう生きる!?
では、銀行で働いた経験がどのようなスキルを生み出し、転職にどう生きているのかという点についてですが、具体的には以下の通りです。
- 金融知識がつく
- ハードなプレッシャーで成果を出せる忍耐力
- 提案力
- 度胸
銀行員の最大の強みはやはり、金融知識です。お金の知識があることで、経理・財務というキャリア形成もできますし、経営企画、コンサルというキャリアへの転身も考えられます。また、不動産の鑑定などにも関わりますし、不動産金融という分野もあるため不動産ビジネスにも転身できるチャンスもあります。
また、テレビドラマであるように、銀行で働くうえでのプレッシャーは非常に高いものです。目標を達成しないといけないし、ミスをしてしまえば評価は下がります。そんな中で何年も働いてきたというのは、必ず次のキャリアで生きてきます。
加えて、法人担当をしていれば、経営者に対し、提案をし、納得してもらわないと融資にこぎつけないですし、経営者に対して堂々と提案する度胸がつきます。法人営業としてこれ以上に必要なものはありませんので、どこにいっても通用すると言えます。
銀行で活躍できる人材は勉強する習慣がついているのも強い
一時期はメガバンクを中心に、銀行というのは人気業界でした。近年ではその傾向は緩んできましたが、銀行員は宅建、証券外務員、保険販売資格など非常に多岐にわたる勉強をしなければなりません。また、会計知識なども当然身に着けないと仕事にならないため、非常に勉強しなければならないことがたくさんあります。
しかし、そういった勉強をする習慣がついているということは、新しい環境で新しいことを覚えていかなければならないこともありますが、そういった環境の中でもしっかり勉強し活躍できる素養を持っていると言えます。何より、銀行で採用される方の地頭がいい方が多いので、そういった点も金融、またそれ以外の業界であったとしても採用される可能性が高いですし、採用側も非常に評価される部分であるということが言えます。
課題は銀行員の安定志向・リスクを取らない考え方
とはいえ、銀行員の方が他の業界に転職するにあたって、課題になる点もあります。それは、リスクを取らない安定志向であるという点です。
上述でお伝えしたように、銀行では原則ミスはご法度です。特に大きなミスであればあるほど、自身の評価は下がり、出世とは縁遠くなってしまいます。しかし、世の中の企業ではリスクを取ってビジネスを行っています。世間では失敗をしないことより、行動をしないことのほうが評価が低いのです。
そのため、近年ではミスをしてもいいから挑戦をしようという気概を求める企業が多くなってきています。
つまり、銀行員がこれまでやってきたこととは、逆の志向性を求められるということになります。
そういうリスクを取って働くということを受け入れて、チャレンジをしていくということを面接の中でしっかり表現し、内定をもらったうえでその会社で働くことになったら、ミスを恐れないアクティブな動きを身に着けていかなければならないと言えます。
銀行ビジネスに残るも他の業界で働くにも覚悟が必要な時代へ
一昔前であれば銀行に就職すれば一生安泰だと言われ、銀行に就職したら家族から非常に喜ばれた時代もありました。
しかし、これからは銀行を出て新しい仕事を始めないといけない人にとっては色々不安はあると思いますし、銀行に残ったからといって昔のように高給取りでありつづけられるとは限りません。しかし、考え方を変えることができれば、別の業界で生き残っていき、活躍することもできますし、しっかり成果を残せば銀行に残ることもできることでしょう。
一番良くないのは、銀行という肩書にしがみついて、中途半端にキャリアを継続し、出世路線から外れ、出向・転籍してよくわからないキャリアになってしまった、みずから選んでキャリアを形成できなかったということになるということです。
時代は常に変化します。これからはさらに安定という2文字がなくなる時代がやってきます。もし、今銀行で働いていて、自身のキャリアに迷いを感じたのなら本当に自分がやりたいことは何なのか、自分を生かす道は何なのかを真に考え、行動をしていくことです。
これまで銀行で働いて積み重ねた経験は間違いなくどのようなキャリアに進んでも生かせることができます。しっかり自分の人生にリスクを取り、自信を持ち、自分の道を決めていきましょう。
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