2020年は東京オリンピックの年だとお考えの方も多いのではないではないでしょうか。
確かに東京オリンピックは2020年の一大イベントではありますが、実は雇用の大変革期であるともいわれています。
では、具体的にどのような変革が待っているのでしょうか。本編では2020年にどのような変化が雇用に生まれるのか、またその変化に対してどのようにとらえていけばいいのかという点についてお伝えしてきたいと思います。
中途採用⇒新卒採用の流れが生まれる
日本でもっとも有名な企業は?と言われると色々な意見はあるかもしれませんが、その1つに必ずと言って挙げられるトヨタ自動車ですが、そのトヨタ自動車が雇用に関してある発表をしました。
それは、新卒採用と中途採用の比率を1:1にするというものです。トヨタをはじめ、日本の大企業は新卒採用割合が強く、新卒の大学生を育てていくのが基本線、足りない分を中途採用で補うというのが通常の型でした。
しかし、それではビジネスのスピード感が担保できない、世界と戦えないため、外部から能力のある人を積極的に採用し、新卒採用の割合を減らすという方向にシフトしたということです。
これは少子化がその後押しをした現状もありますが、世界のトヨタがここまでのことをしているのに、他の大企業が手をこまねいて見ているとも思えません。
トヨタは2019年から新卒:中途の採用割合を9:1→7:3と設定し、段階的に1:1にしていく予定となり、他の企業も2020年の採用活動からこれに追従していくことになるでしょう。
新卒採用中心のカルチャーから中途採用メインの採用に変化していく、それが2020年に起こる雇用の大改革の1つなのです。
終身雇用、年功序列型賃金の終焉
今、中途採用の市場は非常に活況ですが、一方で早期退職者の数が増えているという現状もあります。
なぜ、このようなことになっているのかというと企業各社が新陳代謝を図っていることに他なりません。
つまり、使えない中高年より、技能の高い若手を入れ、年齢に関わらず優秀な成果を出した人材を評価する制度作りに着手する企業が増えているということを意味します。
2019年にこれまで下げ基地だった早期退職が急に増大している背景からもこの流れは2020年に継続、拡大が予想されると言えます。
定年がなくなる・伸びる
医療、AIの発達に伴い人間は長生きになるといわれていますし、平均寿命は年々延びてきています。
また、働き方改革では一億人総労働社会を謳っており、結婚・出産を終えた女性、65歳以上の高齢者も労働者として含めています。
以上の状況から、70~75歳まで働くことになるのは規定路線となり、働く期間が長くなります。
年金制度も支払い期間が伸び、最大70歳まで支払い期間を伸ばせるような制度改正が2020年になされますが、まさにこの制度変更は定年が伸びることを想定して、また政府においても働き方改革の一貫でそうさせたいことを暗に示しているということが言えます。
キャリア形成も大きく変化する
世界的なトレンドで見ると、企業寿命が短縮しており、企業が生き残っていくにはとかくスピード感を求められます。
そうなると、従来大企業が行っている新卒を大量採用し、定期的な研修を行い時間をかけて育成するというのはスピード感が合わなくなってきます。
そのため、いわゆる総合職採用を行って、大量採用を行い適材適所を会社が考えジョブローテンションを組んでゼネラリストを育てていくいくメンバーシップ型から、職種を限定してスペシャリストとして採用するジョブ型へと移行していきます。
ジョブ型の給与は職務能力や成果に対して支払われることになり、日本で昔から行われている終身雇用・年功序列型賃金は間違いなく崩れていきます。
そのため、自らのキャリアの軸を早い段階から定めていかないと、会社は守ってくれないので生き残れなくなってしまうのです。
新しい技能は常につけていかなければならない
さらに、これからの仕事はIT,AIが重要な役割を担っていきます。そのため、大げさでもなく自らの仕事をIT,AIに奪われてしまうことは本当に懸念しなければならない時代になってきています。
その証拠に銀行の窓口業務、融資業務に関しては人の手を介さないAIの力で実施すべく、段階的にではありますがメガバンク3行を中心に採用数を減らし、行員数を最低限にまで削減しようという動きが進んでいます。
そのため、今のキャリアにしがみついているだけでは、自身の業務がAIに取って代わられたとき、仕事がなくなり苦しいキャリア形成をしなければならなくなります。
そうならないようにするために、1つの技能に留まらず、いくつか技能を身に着けて、仮に今の仕事がIT、AIに取って代わられたとしても別の道で食べていける方法を常に模索していかなければなりません。
また、そのような動きをしていくと、今のキャリアが深まり、さらなる高い技能を持つことも可能となります。
キャリアは掛け算です。経験、技能、専門性が身についていくことで、あらゆる可能性が広がり、AIやITにはできない実力が身についていくことが可能となります。
以上の点から、今の仕事に広がる技能を身に着け経験していくことも重要だとお考え下さい。
仕事を前向きに楽しいと思えるのかが重要
2020年の雇用の変化にどう対応していくのかということですが、とにかく仕事に対して前向きにとらえ、楽しむことが重要であると言えます。もっと言えば変化を受け入れることこそが重要であると言えます。
昔は、最初に勤めた会社で勤め続けることが当たり前でしたが、その流れも崩れ、転職が当たり前になってきています。そうなると、自分が望まなくても転職をしなければならない状況というのはやってくると考えて良いでしょ言う。
しかし、この状況というのは見方を変えれば、新しい環境、新しい仕事をできるチャンスというのが増えてきているということになります。逆に言えば、1つの会社にずっと在籍していると、いつしか偏った見方しかできなくなりますし、気が付かないうちに時代に取り残されているようなことになります。
確かに、変化は辛いものではありますが、同時にその変化を受け入れることで楽しくもなります。問題は、その変化に対して抗うのか、受け入れるのかということで、ぜひ受け入れて頂きたいと思います。
人生のなかで別の会社、別の仕事を経験できるということはあるいみ新しい何かを得られるチャンスなのです。そのチャンスの中で新たなものを得られたらさらに仕事の技能、スキル、新しい目線が生まれ、結果としてもっと仕事のできる人になれる、年収をもっと稼げるチャンスも生まれてきます。
これまでの転職市場においては35歳転職限界説が当たり前でしたが、これからは年齢に関わらず企業が求める専門性やスキルのある方には、新しい環境で働くチャンスが生まれるような時代になってきます。年齢に関係なく能力・経験さえあれば年齢に関係なくそういったチャンスが生まれてくるのです。そう考えると楽しいとおもいませんか?
2020年を境に、雇用、転職市場の人材に対する企業の捉え方は激流のように変化していきます。失うものも多いですが、当然得られるものも多くなります。まずはその激流を受け入れる準備から始めて頂きたいと思います。
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