銀行に預けておけば、お金が貯まるから安心、自分の資産を銀行が守ってくれる、銀行はおおげ差に言えば市井の方々のお金を守ってくれる公共的機関である、そう思われている方も多いのではないでしょうか。
しかし、今銀行は苦境に陥っています。なぜなら、日本は現状金利が0に近い数値となり、銀行が儲かるようなビジネスモデルとはいいがたい状況です。
その結果、銀行にお金を預けるのに手数料、すなわち口座管理料を取るかもしれないということが言われています。
もしそんなことになれば、銀行からお金を預ける人はいなくなるでしょうし、銀行によって口座管理料を取らないところもあれば、そちらにメインバンクをうつすことになるでしょう。
今すぐそうなることはもちろんありません。しかし、銀行の経営がさらに苦しくなれば、そうなる可能性も否定はできないでしょう。
では、今銀行にどんなことが起きているのかをお話をしたいと思います。
赤字になっている銀行が増えている
タイトルの通り、今赤字の銀行が増えてきています。
実際、金融庁の調査によると、40%ほどの地方銀行は赤字となり、かつては1都道府県あたり2〜3件あった地方銀行でも再編が活発になされています。
では、そもそもなぜそんなことになるのかというと、銀行のビジネスモデルと金利の現状に起因します。
銀行は基本的に金利をベースにした手数料ビジネスです。お金を集めるために、預金者から預金を募りお金を預けてもらい、そのお金を企業融資やマイホームを購入するときに金利を支払ってもらい、その金利分を会社の利益とする、ざっくりといえばそのようなビジネスモデルとなっています。
そのため、金利が高ければ預金者からお金を預けてもらったら、多く金利を上乗せしなければならないですし、お金を貸したら、その返済における戻りのお金が多くなります。
では、今日本はどのような経済政策をとっているのかというと、マイナス金利、すなわちお金を預けても実質的にお金は減っていく、お金を貸しても、返済のときに多く金利を積めないというようなことが起きます。
結果、利益があまり取れないというようなことになっているのです。
なぜマイナス金利にしているのか
では、なぜマイナス金利にしているのかという点についてもお話をいたします。
安倍政権が発足して以降、経済政策というのは重要政策として位置づけられ、とうじデフレ、すなわち物価が下がっていた状況で経済循環が悪かったため、インフレ政策として物価2%上げることを目標にして経済政策を打ち出してきました。
物価を上げるためには銀行にお金を預けず、株や不動産などモノに変えるようにしてお金よりものの価値を上げていくことが必要となります。
そうするためには、銀行にお金を入れて金利で稼げるような経済体制にしていたらお金を銀行に置いたままで、日本経済にお金が循環しないようになってしまいます。
また、税金を使って、不動産投資信託(ETF)の購入も進めたりといろんな手を打ってきました。
しかし、日本だけが頑張っても限界があり、世界的には金利引き下げの流れができていることから、物価上昇率2%の目標達成にはまだまだ程遠い状況です。そのうえ、今中国景気が停滞するなどの要因で日本経済も踊り場からやや下げに転じている傾向があります。
そうなると、あらゆる企業がお金を借りやすいように、金利を下げているにもかかわらず、銀行にお金を借りる機会がなくなり、銀行はさらなる苦境に立たなければならない状況にもあるということが言えます。
このような状況が進む中、銀行は何としてでも収益源を作っていかなければなりません。そこで、銀行が取れる窮地の策として、口座管理料を徴収する、そういうイメージをもってもらうと分かりやすいかもしれません
口座を維持するのもタダではない
もう1つこの口座管理料を取ろうという背景があります。それには口座管理にもコストがかかっているということです。基本的に1口座当たり年間2000~3000円程度がかかっているといわれています。
1銀行当たり、複数の口座を預かっているわけですので2000円~3000円が積み重なるということになりますので、結構なコストを銀行は追っているということになります。
そのため、有識者、銀行関係者が口座管理料を預金者からもらうのが望ましいという発言をしているという事例もあります。
以上の状況からも、口座管理料を預金者から徴収するという話もあながち勝手な予想ではなく、関係者、有識者から上がっている声であるということなのです。
世界的には口座管理料を銀行はとっているのか
では、口座管理料を預金者から集めるなんてことは世界的にあることなのかということについても触れていきたいと思います。
結論としては、口座管理料を預金者からもらっている国もあるということです。事実、フランスやアメリカでは、一定金額の預金がない預金者においては口座管理料をとり、一定金額以上預金するか、口座管理料を取るかどちらかにしているという体制にしています。
日本人感覚でいえば、貧乏人からお金を取るのか、ということになり、同じことを日本でやろうとしたらただでさえ反発を招きかねないのに、さらに大きな反発を招く可能性があり、口座管理料を取るにしても、そのルール設定は各行で非常に頭を抱えそうな状況だということが言えます。
ゆうちょは口座管理料を取らないとみている
これに対し、他の銀行が口座管理料を取るにしても、口座管理料を取らないとされているのがゆうちょ銀行です。
なぜなら、ゆうちょは他の銀行と異なり、電気、ガス、水道のライフライン同様、財産、地域による不平等の内容なサービス提供をすることが義務付けられています。
そのため、銀行各社が口座管理料を預金者から徴収するとなった場合、口座管理料をとられるならゆうちょ銀行にお金を移そうとすることになり、結果的にゆうちょ一人勝ちという状況になるとも見られています。
以上の状況からも、銀行各行の本音からすれば、今利益も取りにくいし、口座管理料を預金者から集めたいのが本音だけど、それを行うにはなかなかハードルが高いということも同時に言えるのです。
まずは人件費から削減をしていく
以上の状況から銀行は新たな収益構造を作ることも難しいですし、預金者からお金を集めるというのも難しいということになりますので、直近の対策はというと人件費の削減、すなわち人を雇わないということです。
実は銀行業務の大半は、今後AIで完結するといわれ、高い人件費を払わなくても、窓口に大量の人員を採用しなくても成立しなくなるといわれています。
現に2019年の新卒採用から、メガバンクを中心に前年の半分程度しか採用しないことになりました。また、今後はさらに採用数を下げていくことも決まっています。
多少開発費はかさむにしても、将来的には大幅に出費が押さえられるということになるのです。
銀行ビジネスは今佳境!預金者にも大きな影響を与える可能性がある
かつては就職先の花形と位置付けられていた銀行ですが、今かなり厳しい情勢となっています。
預金者から口座管理料をとるなんて一昔前では考えられないことでしたが、今やその議論が裏ではなされているような現状となっているということはこれを物語る最たる事例なのではないでしょうか。
銀行はこれから大きな変化が起きてくることが予想されます。預金者である私たちはその変化についてしっかり情報収集をしなければならないということ、金融の知識をつけていくことはこれからの時代を生き抜くうえで重要であること言えるのです。
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