アウトソーシングとは外部委託、すなわち自分の仕事を他の会社に委託することです。
例えば、通販サイトを持つ会社の場合、コールセンターの業務をコールセンター専門業者に任せる、自社の事務作業やIT関連の開発を派遣社員に任せるなど、人材、もしくは人材に準じた業務を委託するようなものをイメージしていただけたらと思います。
今、実はこのアウトソーシングが盛んになっており、あらゆる業界で利用されています。
そして、これからの働き方として、アウトソーシング、すなわち派遣がメインになると考えている方もいらっしゃいます。
では、なぜアウトソーシングがメインになるのかということをアウトソーシングの仕組みと連動しながら説明をさせて頂きたいと思います。
アウトソーシングをなぜ各企業が利用するわけ
各企業がアウトソーシングをなぜ利用するのかというと以下の通りです。
- 自社で社員を採用するより安く済む
- 教育の必要もないので手がかからない
- 短期間必要な人員は短期間で採用できる
- 集中と選択ができる
- 仕事の質を上げられる
では、それぞれ詳細に説明していきたいと思います。
自社で社員を採用するより安く済む
採用・雇用にはコストがかかります。
例えば転職エージェントを利用をして採用を行った場合、採用企業は採用した方の理論年収の30%を転職エージェント側に、支払ったうえでかつ給与や各種保険のお金を支払うなどのことをしなければなりません。(転職エージェントの利用そのものがアウトソーシングではありますが)
しかし、派遣社員の採用をすることで、初期費用を納められますし、各種保険の支払いは派遣会社持ちとなります。
また、教育コストに関しての捻出も抑えられます。
このように、わざわざ自社で社員を採用をしなかったとしても、業務を行うことは可能ですし、社外のリソースに業務をさせることができればコストを抑えることが可能になるため、アウトソーシングを行う、そういった側面が1つあります
教育の必要もないので手がかからない
教育には、研修に行かせるなどのコストもかかりますが、時間的なコストもかかります。(外部研修もアウトソーシングにはなりますが)
すなわち、現存社員の時間を取られてしまうことも十二分にあるということです。
しかし、技術者派遣を採用する場合は、初期教育に関して言えば派遣会社が請け負ってくれますし、経理や給与計算のアウトソーシング、すなわち経理や給与計算のような内省化しなくても良い仕事においては、外部の経理、給与計算のプロを多数在籍する外部企業に依頼をすれば教育などを実施する必要もなく問題なく業務を完了させることができます。
短期間必要な人員は短期間で採用できる
転職サイトで採用しようが、人材紹介で採用しようが、今すぐ特定の業務を行いたいと考えたときに、自社で採用を行おうとしても、転職エージェントを利用して外部の力を使って採用をしたとしても、結局のところ、採用しても入社までに1~2か月かかるというのが通常です。
しかし、派遣社員を使っての採用であれば比較的早急に採用は可能となりますし、外部の機関に業務を委託すれば1~2か月もかからず業務に取り掛かることができます。
集中と選択ができる
アウトソーシングは企業の無駄を排除し、必要な業務だけ内省化しできるという点でビジネスの集中と選択を行うことができます。
実際、銀行や証券会社は、自社で抱えるのはメインとなる業務のみで、後は事務代行を行う会社、投資信託を運営する会社、システム運用管理を行う会社など、本社組織の下部組織として、アウトソーシングをする代行会社を抱えたり、短期のシステム構築プロジェクトで短期的な人材が必要となった場合は、IT関連のコンサル会社に必要な人員をアサインしてもらい、そのプロジェクトが動いているときだけ自社のプロジェクトに参加してもらうというようなことをします。
これにより、余剰人員を抱えなくてもよくなるというのも企業がアウトソーシングを積極的に行っている大きな要因であるといえます。
仕事の質を上げられる
アウトソーシングは、ただ楽をする、コストを下げることだけではなく、外部の専門家に仕事を依頼できるという点も大きな魅力の1つです。
そのため、仕事がより早く、より迅速に進めることができ、より効率的に、高品質な仕事が仕事に繋がるということになります。
アウトソーシングのデメリット
では、アウトソーシングによって、どんなデメリットがあるのかというと、以下のことが挙げられます。
- 正社員雇用が奪われる
- 自社業務が内省化できなくなる
以下、それぞれ説明をさせていただきます。
正社員雇用が奪われる、年収が下がる
アウトソーシングにはコンサルティング的要素とコストカットの要素があります。
前者であれば、高い付加価値があるため、サービスを利用する企業は高いお金を支払い、依頼をします。
しかし、コストカット要素の強いアウトソーシングであれば、派遣採用を見てもわかるように、年収がさがります。
しかも、アウトソーシングが今よりも盛んになれば当然のように正規雇用枠は減り、全体の年収は下がります。
そうなると、日本経済においても金回りはよくならないないので、国益においても大きなダメージを受けることとなってしまいます。
つまり、今政府主体で国内の経済をよくするために物価を上げていく方針ではありますが、それとは逆の現象が起きていくことになるのです。
自社業務が内省化できなくなる
皆様の記憶に新しい東日本大震災において、あるメガバンクのATMが機能しないという事態が発生しました。
これは、突き詰めてしまえば、システムエラーが地震により発生したのですが、この原因がわからず、ATMの不具合が長期間しました。
なぜこんなことが起きたのかというと、システムの保守、運用等を全てアウトソーシングしていたため、非常事態に対して、対応できる人材が社内にいなかったことが背景にあります。
つまり、会社の事業において、内省化をしなければならないことをコストカット・効率化でアウトソーシングしてしまったため、いざというときに事業が機能しなくなるリスクというのが企業には起きてくるのです。
アウトソーシングはこれからもっと盛んになる
これから、アウトソーシングは今以上に盛んになることが予想されます。
なぜかというと、日本の経済的成長はなかなか厳しい状況で、会社の売り上げが劇的に上昇することは難しいと予想されること、また仕事はこなさなければならないものの、即戦力になる人がいないため、最終的には仕事をアウトソースするケースも増えることが想定されます。
つまり、AIの発達なども想定されるため、会社には最低限の人材のみ囲ってれば仕事ができることになりますし、人員数のわりあいに対して、会社の利益にインパクトをだせないならば、よそのアウトソーシング会社に依頼してやれば良いと考えられる可能性が非常に高いからです。
逆に言えば、AIにも、経営のコストカットにも耐えられる専門性や特殊技能を持った人材になれるかというのが、これから高い年収をもらえるのか、もらえないかに繋がるのです。
社会はこれから間違いなくアウトソーシング化が進みます。なかには正社員が採用されなくなる時代がくるという専門家もいるくらい確実に、また迅速にやってくるでしょう。結果、高年収層と、低年収層がはっきり分かれてくることも想定されます。
この状況に対して、一定の年収層を担保しながらキャリアを形成するためには専門性、技能などで自身の価値を市場に認識してもらうことです。
今自分にそれがあるのか問いかけてみましょう。
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