転職をする方の大半は、キャリアチェンジを目指して転職をする方か、今あるキャリアを継続して年収や環境を変えたいかのいずれかです。
その中で、転職をする度に職種や業界を変えようとする方がいらっしゃいます。
既にご存じの方もいらっしゃるかと思いますが、業界を横断し続ける転職というのは、転職可能性を狭めますし、何より自分のためになりません。
では、どのようにしてキャリアデザインをしていけば良いのか本編では説明していきたいと思います。
キャリアチェンジは原則1回まで
まず大前提として覚えていただきたいことがあります。それは、キャリアチェンジは原則1回しかしてはいけません。
なぜかというとキャリアの一貫性がなくなるからです。では、キャリアの一貫性がなくなると何が問題なのかですが、採用側に定着性を疑われる、もっと言えばまた辛くなって別の仕事をしたがるのではないかという推測をたてられてしまうからです。
あくまでも、キャリアチェンジは1回まで、それ以降は同業界、同職種での転職が基本線だとお考えください。
キャリアアップ転職についてはその限りではない
しかし、同業界、別職種に関しては例外もあります。
それは、キャリアアップ転職についてです。
キャリアアップとは何なのかという定義をしなければなりませんが、ここでいうキャリアアップとは、原則営業とマーケティング、金融営業からファイナンシャルプランナーのように、ある特定の職種を経験し、専門性をつけて初めてなれる仕事だとお考えください。
これらのキャリアアップ系のポジションに関しては、一定のの業界経験が求められますが、OA機器営業→医療機器営業→医療機器マーケティングのように、他業界の営業から同業界の営業で花開き、そこからマーケティングとしてステップアップするというようなパターンの転職実現が可能となります。
ただし、この手の転職については、人気が集中したり、花形ポジションになる場合が多いため選考の目が厳しくなりがちで、棚からぼたもちのようなラッキーで転職できるものではありません。
ちゃんとステップアップのために努力をしたか、また、成果を上げているのか、また成果を上げるためにどのような工夫をしたのかということが問われてきますのでその点は認識が必要です。
スライド型転職という方法もある
もう1つあるのは、スライド型転職、すなわち厳密には違う業界ではあるものの、働き方がにているため受け入れやすいという働き方です。
例えば、最近製薬会社でMRが削減されていることを報道でご覧になっているかもしれませんが、MRの転職先として市民権を得ているのが医療機器、医療系IT,そして医師向けの転職エージェントです。
ご覧の通り、仕事内容は違いますが、医師や病院相手の仕事なので、商材さえ理解すれば早期戦力になると考えられ、30代、40代であったとしても、転職はしやすくなります。
自信の経験を生かすスライド型転職というのも方法としてあることをご認識ください。
業界・職種出戻り型転職という方法もある
出戻り方転職というものもあります。
例えば、全く別の職種に転職したものの、働き方が合わなくて前の職種に戻るというような転職のことを指します。一例としては転職エージェントを経験したのち、人事に転職されるというスライド型転職をする方は割合多いのですが、そこから人事の働き方が合わなくて、また転職エージェントに戻るというケースもあります。
この出戻り型転職というのは、一度他のことを経験して、その経験を生かした転職ということで評価されることも往々にしてあります。
このケースの場合は転職した理由、元の職種に戻りたいと考える理由というのが大事ですが、ここさえクリアになれば、長期定着の可能性もありますのでありがたいと考える人事の方もいらっしゃいます。
また、この出戻り型転職を成功させるためのコツとしては人脈を利用しましょう。
例えば前職の人脈、業界の横の関係で紹介してもらう、また会社によっては出戻り型転職を歓迎している会社もあります。
この社員の紹介で採用をするのはリファーラル採用というのですが、リファーラル採用は自社の社員が紹介してくれるため、一定の経験値や人物面を担保しやすいため非常に転職市場において活用されている方法です。
出戻り型転職にはリファーラル採用を利用すると非常に転職しやすいのです。
業界・職種変更の転職を繰り返してしまうとどうなるか
では、何の脈略もなく業界・職種変更の転職を繰り返してしまうとどうなるかということについてお話をすると、結論から言えばどんどん年収が下がり、転職もしづらくなってしまう、会社もどんどんブラックになっていくという傾向にあります。
では、何でそんなことになるのかというと、そもそも転職をして年収を上げるということは原則不可能です、むしろ、転職をすれば年収は下がるというところに起因します。
一般的に、企業の中途採用については、中には幹部候補生の採用も行いますが、原則は人員補強で、幹部候補としては新卒採用文化が強ければ強いほど転職を経験していないプロパー社員に対してその権利を与えます。
同じ能力があれば出世させるのは間違いなく新卒採用からずっとその会社にいる人なので便利屋的な扱われ方をされるのが一般的です。
また、基本的に採用企業は長期定着と活躍を期待するので、長期定着性もない他業界への転職を繰り返していて、かつ活躍する保証もない人をそう簡単に採用すると言いうのは普通に考えたらありえないことです。
逆に言えば、それでも採用してしまうのはよっぽど働き手のいない会社であると考えた方が自然です。
そういう会社は当然ながら人材不足ではありますので非常に業務はハードでかつ年収も高くないということになります。
はっきり言って、異業種・異職種転職を繰り返すことで負のスパイラルが出来上がってくるということになります。
自身の年収を上げる、また安定したキャリアを構築するためには、自身のプロフェッショナルの領域を作り上げなければならないのです。
このことははっきり認識していただきたいことであるといえます。
転職は実はリスキーなこと!計画的で慎重な転職をしよう
世の中では転職は年収アップする、転職がいいことだという風潮になってきました。
確かに世間的には労働力の再分配も可能となりますし、個人にとっても再チャレンジのきっかけになります。また、場合によっては自身の活躍の場となり、年収アップにつながることもあります。
しかし、全体的に見れば年収が下がっていく傾向もあります。何より、基本的に仕事はプロフェッショナルになって会社の利益になり、それ相応の報酬をもらうというのが大前提です。
その原則から考えると、異業種、異職種への転職を繰り返していくのはあまりいいことであるとは言えません。
あくまでも異業種、異職種の転職というのは、自分のキャリアの軸足を変えるための手法として原則1回、それ以降の異業種、異職種転職というのはキャリアアップ、スライド、出戻りのいずれかに該当するものであるべきであるというのが採用企業側の考え方です。
そもそも転職というのは働いてみないと、自分の適性のある仕事、会社なのかということは分かりません。
以上のことから考えても、転職というのはそもそもリスクのある行為なのです。
そのため、キャリアチェンジ型の転職においてはそこに潜むリスクを考え、かつ覚悟を決めて転職活動を行うことをお勧めしたいと思います。
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