派遣社員という働き方は大抵の方が何となく知っています。
しかし、後でもお話ししますが、なんとなく派遣という言葉が一人歩きし、偏ったイメージがついているのが現状です。
そこで、派遣社員という働き方についての基本的な知識について本編ではご紹介いたします。
派遣社員の就労体系について
派遣社員とは、一言で言えば労働契約をしている会社と実際働く会社が違うという働き方で、労働契約をしている派遣会社を派遣元、実際に働いている会社を派遣先と言うこともあります。
では、派遣社員の採用ニーズについてですが、おおよそ以下の通りです。
- 短期的な人材不足の解消
- 採用工数の削減
つまり、短期的な人材不足の解消を迅速に埋め合わせるために派遣社員を採用するのが基本線であるとお考えください。
さて、派遣会社との労働契約について、大抵の方は登録型の派遣形態をイメージするかもしれませんが、実はそれだけではありません。
では、派遣契約にはどのような形態かあるのか以下でご紹介いたします。
登録型派遣
登録型派遣とは派遣契約で最も一般的な労働形態で、就労希望者は派遣会社に登録し、顔合わせ経て就労する派遣先の決定したタイミングで労働契約が発生する働き方です。
基本的に有期雇用、すなわち、予め労働期間が、3ヶ月,6ヶ月といった形の労働契約で、必要に応じて都度更新されます。
主に事務職の採用において一般的な派遣形態と言えます。
紹介予定派遣
紹介予定派遣の労働契約の形態は基本的に登録型派遣と変わらず、派遣先企業で就労就労すること=労働契約のスタートということになります。
ただし、一般の登録派遣と大きく異なる点として、紹介予定派遣は正社員になることが前提となる派遣形態なのです。
スタートは派遣社員でも、将来的には正社員を目指したいと考える方におすすめできる働き方と言えます。
常用型派遣
派遣会社と正社員契約、またそれに準じた形で契約するケースがあります。
つまり、正社員同様に期間を定めない形で労働契約を行う派遣形態でこれを常用型派遣と言います。
登録型派遣の場合は、派遣先がなければ給与は1円も入らないですし、時給換算で給与が計算されますが、常用型派遣の場合、派遣先がない場合も一部ですが給与が発生します。
そのため、登録型派遣より安定して働けます。
派遣会社と正社員契約、またそれに近い働き方をするのが常用型派遣と認識してください。
派遣社員の職種
派遣社員として実は色んな方が活躍されています。以下でその事例を
一例としては以下の通りです。
事務系職種
営業事務、経理、秘書、各種アシスタントなど各種事務系職種は派遣社員の採用が頻繁に行われています。
営業職
営業職の派遣求人は事務職と比較したら決して多いとは言えません。
ただし、全くないわけでもなく、一例としてCSOと呼ばれる医療業界専門の派遣会社では、MRや医療機器メーカーの営業職を常用型派遣で正社員採用をするケースが散見されます。
研究・開発職
各種メーカーの研究、開発職でも実は派遣採用を比較的積極的に行っています。
その中でも、電気、メカ関連開発、設計職だと常用型派遣、製薬、バイオ系の派遣採用は登録型が多いです。
ITエンジニア
IT技術者の派遣採用も多く行われ、常用型派遣が多いと言えます。
IT業界はフリーランス志向の方が多いためか、技術系派遣社員であっても、電気、メカの開発設計よりは年収が高くなる傾向にあります。
派遣社員として就業するまでの過程
実は、同じ派遣社員であったとしても、それぞれの派遣形態で採用の過程も異なります。
以下ではその点を説明いたします。
登録型派遣の採用プロセス
派遣社員になるには、派遣会社へ登録していただくか、派遣求人サイトから掲載求人に直接エントリーするかのいずれかで対応していただくことになります。
その後は登録会に参加する、もしくは電話等をしていただいたうえで求人紹介がなされるというのが一般的なプロセスとなります。
ただし、最近は登録会、電話面談を実施せず、web登録のみで登録を完了させるケースもあります。
派遣会社の登録フローに準じて派遣登録を完了させれば問題ありません。
その後、受けたい求人があり、スケジューリングが合えば、派遣先企業との顔合わせ、すなわち派遣先企業との接点を持つ機会が設定されます。
ここで疑問に思われる点として、顔合わせと面接は違うのかということですが、原則違うという言い方が適切でしょう。
なぜなら、労働派遣法では登録派遣の採用において面接による選考は原則禁止となっていて、顔合わせはいわば採用前提のイベントなのです。
ただし、現実は顔合わせ、即採用ではありません。顔合わせ後でも採用とならない場合も散見されています。
その点は予め認識しておきましょう。
紹介予定派遣の採用プロセス
紹介予定派遣の場合も登録型派遣同様の過程で派遣会社に登録が必要となります。
ただし、登録型派遣と大きく異なる点は、紹介予定派遣は顔合わせではなく面接が行われることです。
紹介予定派遣の社員採用においては、面接が認められているため、一般の登録派遣と異なり、顔合わせという体にしなくても良いのです。
ただし、派遣社員から正社員や契約社員といった直接雇用移行するタイミングでの面接は禁止されていますので、その点は認識しておくと良いでしょう。
常用型派遣の採用プロセス
結論から言えば正社員採用と同様のプロセスを経て採用がなされます。
すなわち、以下のエントリー経路が想定されます。
- 転職エージェント
- 転職サイト
- 派遣会社ホームページ
上記のエントリーから書類選考および数回の面接をクリアすることで派遣会社から正社員、もしくは契約社員扱いで採用されるのです。
派遣社員になるメリット・デメリット
派遣社員になるメリットはズバリ自由な働き方ができることです。
1つの会社にずっといなくても良いため、嫌な職場に居続けなくて良いですし、子育てや仕事以外の活動と平行しながら働けます。
ただし、以下の点はデメリットといえます。
年収が低め
一部の方を除き、派遣社員の年収は決して高くなく、
年収300万円に乗らないことは珍しくありません。
正直、お金の面はあまり期待できないです。
正社員採用の高い壁
一度派遣社員になるとなかなか正社員には戻れません。特に一般の登録派遣と技術派遣の方にはその傾向が強いです。
また、紹介予定派遣で採用される大半は30代前半ですのでそれまででないと派遣社員から正社員になるのは原則厳しいと言えます。
雇用が不安定
派遣社員は、会社の人員削減がはじまれば真っ先に雇用を打ち切られることになります。実際、派遣切りという言葉が使われた時期もありました。
派遣社員というのは会社にとり出し入れが自由な便利な存在と言えるのです。
派遣の基本構造を認識しながら、自分の働き方を選ぶ
派遣社員というのはその働き方の自由さが評価され、派遣社員になる方も多い一方でデメリットも多い働き方であるということ、およびその理由は自らのキャリアを考えるうえで知っておきましょう。
また、マイナスな話が多いと感じた方もいらっしゃるでしょうが、それが全てでもありません。
高い技術、能力があり、派遣で自由さを得ながら正社員同等、もしくはそれ以上の給与を稼ぐ方もいますなで、本編の内容が全てとも言いません。
不利に働くことが多い働き方ですが、非常に奥の深い働き方とも言えるのです。
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