さあ、待ちに待った給料日!・・・・・給与明細を見ると、「健康保険料」「厚生年金保険料」やら色々な項目があって天引きされて、実際にはこれしか受け取れないの?と、特に社会人になりたての皆さんは思いますよね。
給与からは、社会保険料、雇用保険料、住民税、所得税が差し引かれます。健康保険料と厚生年金保険料は社会保険料です。
今回は、社会保険関係の事務を経験した私が、社会保険料の仕組み、社会保険料額の決定方法、そして、社会保険料を節約する方法を紹介していきます。
社会保険とは?
まず、社会保険について説明します。社会保険は1週間の労働時間が30時間以上の人を対象にした保険です。自ら保険料の納付を行う国民健康保険、国民年金と異なり、健康保険料、介護保険料、厚生年金保険料を会社側が労働者の給与から天引きする形で保険料を徴収します。
保険料は、会社と労働者が半額ずつ納める形になり、労働者は天引きされた分を納めていることになります。会社側の支払いは会社側で経理担当者が行っています。
また、社会保険に加入すると、会社名が記載されたカード型の健康保険証が交付され、社会保険に加入しているという証拠になります。
では、健康保険、介護保険、厚生年金保険についてそれぞれ説明します。
健康保険
こちらは病院にかかった際に療養の給付が受けられる保険ですね。74歳まで対象になります。※75歳からは後期高齢者医療制度の対象となります。69歳までの労働者が病院や薬局にかかった際、病院や薬局に支払う金額は、実際にかかった金額の3割で済みます。
70歳以上の方は、収入に応じて2割か3割のいずれかの割合になります。※70歳に到達したら、健康保険高齢受給者証という白い厚紙の用紙が届き、そこに何割の負担になるかが記載されていますので、病院、薬局にかかるときに保険証と一緒に提示する必要があります。
介護保険
こちらは介護が必要になった人が、介護にかかる費用を給付が受けられる保険で、40歳~64歳の社会保険加入者が対象です。
厚生年金保険
こちらは国民年金の社会保険加入者バージョンです。
国民健康保険に加入して年金を納めている人を第一号被保険者というのに対し、社会保険に加入して厚生年金保険料を納めている人を第二号被保険者といいます。(第二号被保険者の扶養に入っている人は第三号被保険者となり、保険料を払わなくて済みます。)こちらは69歳まで対象になります。
例を上げますと、私は大学卒業まで国民健康保険に入っていたため、第一号被保険者でした。その後、大学を卒業し、会社勤めを始めてからは社会保険に加入していたため、第二号被保険者になりました。そして、会社を退職し、国民健康保険に再び加入してまた第一号被保険者に戻ったというわけです。
※第一号被保険者に戻った私は、健康保険料が会社勤めをしていた頃の倍の金額になりました(泣)
社会保険料の金額はどのように決まるのか
では、本題に入っていきます。社会保険料の金額はどのように決定されるのでしょうか。
こちらは、1か月の収入金額によって算出されます。
従業員を雇用し、社会保険料に加入することになった場合、1か月の収入金額を通勤手当も含めて計算し、「健康保険・厚生年金保険 資格取得届」にその従業員の情報と1か月の収入金額を記載して、日本年金機構に提出します。
提出から約2週間後、健康保険証が送られてくるのと同時に、社会保険料の徴収額が通知されます。社会保険料の徴収額はこのように通知されます。
「被保険者番号 ●●● 氏名 ○○ ○○ 標準報酬月額 190千円」
この「標準報酬月額」が社会保険料の通知額に当たるのですが、社会保険料について熟知していない方は何のことかさっぱりわかりませんよね。そこで、社会保険料の計算方法を説明します。
まず、標準報酬月額というのは、簡単に言うと社会保険料のランクのようなものです。標準報酬月額が190千円ということは、1か月の給与額が19万円程度ということです。ここから実際に労働者から徴収する社会保険料の金額を求めます。
金額の求め方は、標準報酬月額×保険料率×1/2です。健康保険と介護保険の保険料率は、住んでいる都道府県によって変わります。厚生年金保険の保険料率は、47都道府県18.3%と固定されています。
※各都道府県の保険料率は「全国健康保険協会(協会けんぽ)」のホームページに記載されていますので、各自ご覧ください。
では、令和元年5月6日現在、東京都在住の45歳の社会保険加入者という例で保険料を計算してみましょう。東京都の健康保険料の保険料率は9.9%、介護保険の保険料率は1.73%です。ということで、この東京都在住45歳の社会保険加入者が給与から天引きされる社会保険料は、
健康保険料 190,000円×0.099×1/2=9,405円
介護保険料 190,000円×0.0173×1/2≒1,643円(※)
厚生年金保険料 190,000円×0.183×1/2=17,385円
と、なります。
※もし、整数で割り切れない場合、少数第一位を五捨六入します。この場合は1643.5と算出されたため、0.5を切り捨てて1,643円となります。
社会保険料の金額を少なく済ませる方法は?
「社会保険料、安くならないかな・・・」
皆さんとしては、やはり給与は多く受け取りたいところですよね。実は、合法的な手段が1つあります。結論から言いますと、それは、4月、5月、6月に極力残業をしないことです。
毎年7月に社会保険加入者全員分の社会保険料額の見直しを行い、9月分の保険料から新しい金額で社会保険料を徴収します。これを社会保険の算定基礎といいます。
そして、この算定基礎は、各社会保険加入者一人ひとりの4月、5月、6月の給与支給額を日本年金機構に提出して、その3か月分の給与支給額をもとに、9月分からの社会保険料が計算されます。社会保険料は、収入が高いと高くなり、収入が低いと安くなります。
そのため、4月、5月、6月に残業をして給与の総支給額が多くなってしまうと、9月分からの社会保険料が上がってしまいます。ちなみに、私も4月、5月が決算等で忙しく、残業をしてしまった年がありました。
結果、その年は9月から標準報酬月額が19万円から20万円となってしまい、社会保険料の金額が上がってしまいました(泣)
社会保険料を安く済ませたいという方は、4月~6月の3カ月間はなるべく残業をしないように頑張りましょう。
まとめ
今回は、社会保険、社会保険料の仕組みや計算方法について紹介しました。
標準報酬月額の話は少々難しいかもしれませんね。
みなさんももし、自身の社会保険料について知りたい場合は、「全国健康保険協会(協会けんぽ)」のホームページの「健康保険ガイド」のところに社会保険料の早見表が載っていますので、そちらを見てみてください。
早見表の見方も説明しておきますね。
まず、「報酬月額」の欄から、自分の報酬に当てはまる金額を探してください。
自分の報酬に当てはまる金額を発見したら、横にたどっていって、40歳未満の方、65歳以上の方は「介護保険第二号被保険者に該当しない場合」の欄の「折半額」を見てください。
40歳以上64歳以下の方は「介護保険第二号被保険者に該当する場合」の欄の「折半額」を見てください。
厚生年金保険料は、さらにその横をたどっていって、「厚生年金保険料」の「折半額」を見てください。
この金額が給与から天引きされている社会保険料になります。(もしかしたらズレが生じているかもしれません。)
皆さんも給与が支給されて給与明細を確認する際は、社会保険料もこの記事を参考にぜひ見てみてくださいね。
END