会社を辞めたいと感じたことは多くの人が持つ感情です。一度もそのような考えになったことがないというのならば、それは恵まれた状況かもしれません。
私は昔、クレーム対応を行っており、その中で何度も辞めたいと考えた経験があります。もちろん自分から臨んだ人事ではありませんでした。
今回の記事では、クレーム処理で感じた苦悩と体験談を解説していきます。
クレーム対応の苦悩
クレーム対応は本当にストレスを抱えます。もう辞めたいと考えたことは1度や2度ではありません。まずはどのような苦悩があったか説明していきます。
社員が分かってくれない
私のクレーム対応で多かったのは接客態度へのクレームです。お客様から接客態度が悪いというクレームを何度も頂き、そのたび謝罪してきました。
一番厄介なのは、この接客態度によるクレームは同じ社員が毎回起こすということです。その人にも言い分はあるようなのですが、仕事をしてお金をいただいている以上、言い訳はありません。また一度のクレームならば言い訳も聞きますが、複数回違うお客様で起こすのならば接客態度に間違いなく理由があるのです。ほかの社員が起こしていないのになぜ起こすのか、その理由を受けとめてくれない社員に対し本当に苦悩しました。
クレームを起こす社員の特徴は一つ「必ず言い訳から始まる」です。「あれはあの客がおかしいんだよ」「俺は普通に対応したよ」毎回このような言葉を聞かせれてきました。
社員にもいろいろな個性があるのでそれを否定はしたくありませんが、その社員に「まずは申し訳ございません。という気持ちは出ないのですか」と聞いたことがあります。その時に返答される言葉も決まっています。「だって」か「でも」これを間違いなく話してくるのです。正直「だって」という言葉は子供の言い訳でしか利用しないような言葉だと、その時の私は考えていました。
「言い訳」と、注意すると「だって」を使用する人、この社員は何を言ってもわかってくれない社員の特徴ともいえます。クレームが起きてしまうのは仕方ないことですが、このような社員に起こされるのが許せないという気持ちが常にありストレスそのものでした。
クレームを解決しても次のクレーム
一つの大きなクレームを解決しても又次のクレームが出てきます。クレームが尽きることが無いのです。そんな職場良くないと思われるかもしれませんが、クレーム対応がすぐに完了すれば良いですが、1つのクレームに対し数週間要するときもあります。つまり、一人で複数のクレームを抱えてしまうのです。
よくもまあこんなにもクレームを起こすと毎日苦悩していました。当時のドラマのセリフをもじって「クレームは会議室で起きてるんじゃない!現場が起こしているんだ!」と言っていたこともありました。
仕方ないクレームはお客様も納得する可能性が高いのですが、明らかに社員がミス、もしくは防げたものに対しては謝罪のしようがないのです。
誰に文句を言っても仕方ない、終わりなきクレームの数は、私にとって苦悩以外のなにものでもありませんでした。
社員にあまり感謝されない
クレーム対応をして感じたことは、お客様に感謝されることの方が多いということです。お客様に「あなたに来てもらって良かった。担当者のままでは納得いかないまま終わるところだった。ありがとう」という言葉をかけられるのは本当に嬉しいときでした。
ただふと考えてみると、お客様に感謝されることがあっても、社員に感謝されていないという現実に気づいたことがあります。そうです。社員はクレーム対応をしている社員に対し、それが仕事なのだから当たり前という感情を持っている人も居たのです。
感謝してほしいという気持ちはいやらしいかもしれませんが、そう考えたら許せないという感情が湧いてきました。もしかするとその会社自体があまり良くなかったのかもしれません。
クレーム対応の体験談
多くのクレーム対応をしてきたので、その中でも謝罪をしていて本当に辛かったことをお話します。
正座を2時間
クレーム対応で、お客様のお家へ菓子折りをもって謝罪に行ったこともありました。そのお客様は厳格な人で、和室に通されてしまったのです。多くの謝罪は玄関先行うのですが、その時は違いました。
お客様へ起きてしまった謝罪、経緯の説明、今後の解決策を説明するのですが、質問を受けたり話したりしているうちに長い時間が経っていき正座していた足はとうに限界を超えていました。もう自分の足ではないというレベルにまで達していたのです。当時の私は正座をあまりしたことが無かったので、とても辛い2時間でした。
お客様のご理解を得て対応は完了し帰るときになったのですが、足がまったく動かないのです。正直にお客様にお話しし、足を延ばして10分程休ませてもらいました。
その時のお客様は笑っていただけたので良かったですが、もしクレーム対応が完了しておらず、引き続き対応しなければいけないお客様だったらと考えると冷や汗ものです。
長時間の正座は本当に辛いものだと体験しました。
頭から塩をかけられた
怒りが頂点に達していたのでしょうか、お客様の家に謝罪に行きチャイムを押しドアを開けた途端、塩を頭からかけられたこともありました。いきなりの出来事に私も啞然とした瞬間です。
塩をかけられた後「話すことは無いから帰れ」と怒鳴られたときは、本当に辛い気持ちでした。何か無性に自分が情けなくなってしまったのです。ただこの時はこれ以上話しても今日は無理だと考え、帰ることにしました。
もう対応しなくてもいいかなと考えていたのですが、報告書を上司に上げると、「これで終わりとは言えない」という話をされたのです。
正直「それならあなたが対応してよ」と感じましたが、上司に言われたら仕方ありません。対応を継続することにしました。
その後、お客様に再度電話しましたが不在が多く、中々連絡がつかなかったのです。3日ぐらい経った日にやっと連絡がつき話すことができました。その時の会話が「あの時はすまなかった。私もやりすぎたからこの件はもういいよ」と言われたのです。この言葉を聞いたときは助かったと感じました。もうあの家に行かなくていいのかと思うと安心したのです。
ただ塩を頭からかけられたという事実は、私の中に今も苦い思い出として残っています。あの時のなんとも言えない苦悩とストレスは今も忘れる事ができないのです。
自分のミスで二次クレームに
これは私の失敗談です。私がまだクレーム対応を始めて間もない頃に起きてしまった体験談になります。
クレーム対応していたお客様から折り返しの電話が来たときのことでした。別の受付が電話に出てくれ「〇〇さんから電話ですよ」と声をかけられたのです。そのとき「やっと連絡来たよ」と私は口にしてしまいました。電話を替わると、「やっとの電話で悪かったわね」と話され一瞬何が起きたか分からずに「とんでもございません」と返しました。そうです、電話が保留になっておらず私の声がお客様に聞こえてしまったのです。
ここからはもう私の話を聞いてくれません。本来のクレーム内容よりも私の対応に対し謝罪をしなければいけなくなりました。これが二次クレーム、本当に激しい内容と変貌していくのです。自分のミスで上司と一緒に謝罪しに行くというクレーム担当者として恥ずべき行動を起こしてしまいました。
あの時は申し訳なさで会社を辞めようとも考えましたが、上司の解決したのだから引きずるなという言葉に救われたことを覚えています。ただ解決するまでの数日間は本当に苦悩の毎日でした。
クレーム対応を楽しめる人ならばおすすめします
いかがでしたか?クレーム対応をしていた私の苦悩と体験談を話してきました。
クレーム担当になったときは最初に研修を受けました。クレーム処理を怖がってはいけないや、クレームから顧客にするための行動など、そんなことできるわけがないだろうと思うような内容の研修です。誰もが嫌がるクレーム処理を、そんなふうに考えらえるわけがないと思っていました。
ただそれでも解決したときの喜びを快感に思う人もいたようです。そのように考えられる人には良いかもしれませんが、私には本当に苦悩の毎日でした。
ストレスを溜めやすい人にはあまりおすすめできない部署だと言えます。
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