世の中には数多くのブラック企業があります。近年でも過重労働、また過度のプレッシャーを受け、従業員を自殺に追い込んだ事例も少なくありません。
一方で、ブラック企業と認定されていたにも関わらず、会社の自浄作用を機能させ、ホワイト企業になった会社も出てきています。では、なぜブラック企業はホワイト企業に変化することができたのか、また、変化することの重要性について本編では説明をさせて頂きたいと思います。
ブラック企業の典型的な事例
まずは、ブラック企業の典型的な事例ですが、以下の通りです。
- 月80時間を超える長時間残業
- 年間休日が104日以下
- 過剰なノルマ体質
- セクハラ・パワハラが横行
- 経営者の発言力が異常に強い
- コンプライアンス意識が希薄
ブラック企業といってもレベル感はありますが、とにかく長時間働き、稼いでこいという異常な体質です。
また、このような会社は個人経営のオーナー企業に見られることが多く、コンプライアンスに対する意識が希薄です。
結果、社内においてもパワハラ・セクハラが横行する、労働基準法を無視する、なかには対外的に販売する製品、サービスの品質に問題が出てくるということになります。
ブラック企業は社会的に抹殺される動きとなっている
しかし、日本ではブラック企業は少しずつですが抹殺されるようになってきています。
2012年には作家や弁護士や大学教授などで構成されているブラック企業大賞企画委員会という組織が出来上がり、ブラック企業に対して表彰を行って、世の中に個別の企業名を認知させるという動きをとるケースもあったり、国をあげて働き方改革を行い、世の中の企業の体質を変えたりする動きもあります。
何より、SNS等でブラック企業、とくに上場している大手企業がブラック企業としての所業を行ったことが発覚すると容赦なく叩かれる風潮にもあります。過重労働で自殺者が出ようものならばマスコミ、ネット上総出で企業の問題点をああだこうだと言われるようになり、世間的な注目を集めるようになります。
以上のような状況から、少しずつですが、ブラック企業が風評により、また政府の改革により立ち位置をなくしているような現状にあるのです。
ブラック企業からホワイト企業に変わった企業も出てきている
そんな中、社内改革を行い、ブラック企業からホワイト企業に転換をした企業もあります。その代表格としてワタミを上げさせていただきます。
ワタミといえば、日本全国に軒を連ねる有名居酒屋チェーンですが、同時にブラック企業の代名詞としても認知されていました。
しかし、オーナー創業者であった渡邊美樹氏が経営から離れた後、新経営陣はワタミのイメージを一新させるために労働環境の整備を行いました。
では、具体的にどのような施策を取ったのかというと以下の通りです。
- 外部有識者による業務改革検討委員会を設置
- 会議や研修の効率化
- メンタルヘルス相談窓口を設置
- 店舗数削減
- 営業時間の見直し
- 労働組合の設置
- 福利厚生の充実
- 労働時間管理の徹底
このように、最初は外部から意見を聞きながら1つ1つ課題を改善し、従前から24時間営業があたりまえだったワタミグループの店舗の労働時間を短縮させ、さらには労働者の満足度を上げる取り組みを実施していきました。
結果、2019年には離職率8,5%という驚異的な数値を叩き出しました。
この数値の何が凄いのかわからない方もいらっしゃるかもしれませんが、飲食業界の離職率は50%、すなわち2人に1人は辞めている現状があるのですが、現在ワタミはその1/8以下の数値となっているのです。
すなわち、自浄努力の結果、ホワイト企業といっていいレベルまで会社の体質を改善したのです。
これは驚異的な事例ではありますかワタミに限らず、会社の企業体質を改善する動きはあらゆる会社で行われているのです。
余談ですが、ワタミという名前だとブラックのイメージが強すぎて、かつてアルバイトが集まらない現状がありました。
しかし、ミライザカなどという、ワタミの名前に頼らない店舗の数を増やしてバイト人員を集めたというこことめ、人材確保に成功した要因となったのです。
現状認識と変革意欲の重要性
では、なぜワタミがこんなに変われたのかですが、一言で言えば、現状認識と変革意欲がワタミの新経営陣にあったからに他なりません。
ワタミのオーナー経営者であった渡邊氏は複数の書籍を執筆していますが、そこには苦労しないと成功は得られないという考えの強い方であったので、ブラックと言われようが自身の経営に関する理念は変わらなかったと言えます。
しかし、新経営陣は、渡邊氏が作り上げたトップダウン、ブラック企業の体質を継続しているのであれば、会社のイメージが悪く、かつ、人材確保もままならないと感じて、客観的な目を加えて会社の大変革を行いましした。
すなわち変わらなければならない現状を認識したうえで、しっかり変わるための努力をしたということになります。
会社を変えるというのは非常に簡単ではありません。
会社には多くの人がいて、このようなワタミの大改革においては、複数名の経営陣の承認、コンセンサスをへて断行しなければなりませんが、営業時間や店舗数を減らすというのは大きな決断で、このようなことを決定するのに議論に議論を重ねたことが想像されます。
また、外部有識者による業務改革検討委員会を設置視したということは、すなわち会社の恥部を晒し、それでも外部の人の意見を求めたということは、会社にとって大きな決断であったと考えていいでしょう。
そのくらい強い思いが、経営陣にあり、今回のような大改革を実施できたということができます。
あらゆる企業においても、自社に課題があり、改善が必要だと考えた場合、コンサル会社等に入ってもらい、自社の課題を洗い出してもらうことから始めます。そして、会社がブラックである、またブラックとは言わないまでも、大幅な変革をしなければならないと考えている企業は、経営が、またそれを実行する社員たちが日々汗をかいて会社を変えるために日々努力をしているのです。
変革は個人においても大事なことは
この状況というのは、個人においても全く同じことが言えます。例えば、毎日30分早く起きるということを断行しようとしたとき、普通の方は1分1秒でも多く寝ていたいのに、30分毎日早く起きて会社に行くというのは並々ならぬパワーが必要になります。
しかし、30分の睡眠時間を削ってでも英語を勉強しないと仕事についていけない、昇進できない、でも今の仕事でキャリアアップしたいし、将来年収を上げるために昇進したいと考えるのならば、30分早く起きてでも英語の勉強をするための時間を作るでしょう。
変わるということは、それ相応の犠牲が伴いますし、また継続するにも精神力がいります。
そのため、変わるには、変わらなければいけない何かをしっかり認識し、自分が変わるための行動をしなければならないということが言えるのです。
ワタミの事例というのは、ブラック企業と呼ばれる会社、また呼ばれない会社でも課題が山積している企業において、またなかなか変革できない個人においても非常に参考となるものであると言っていいでしょう。
今自分に変えなければならない課題はありますか?もしそのような課題を持っているのであれば、ワタミのように、自らの課題をしっかり認識し、その課題を解決するために何が必要か真に考え、実行していきましょう。
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