現在の日本の景気は絶好調といっていいでしょう。昨年末頃から少し陰りも見えていますが、それでも好景気といっていいと思います。企業収益は史上最高に近い水準ですし、失業率もバブル期並みの低水準となっています。
最近、景気の状態が外国の経済不安により、落ちているという報道はあるものの、まだまだ景気が悪いとは言えず、転職市場は一部業界を除き好調であることからも決して景気は悪いわけではなく、むしろ景気はまだまだ良いと言ってもよさそうな状況です。
しかし、世の中で好景気であると思っている方は実はそんなにいないというのが現状で、景気が悪いから・・・なんてことを言う方も多くいるのが実情です。
それにしてもどうして景気が良いはずなのに、世の中の方は景気が悪いと思ってしまうのでしょうか。本編ではその背景についてお話をしていきたいと思います。
暮らし向きが良くならないから
景気が良いか悪いかの判断を世の中がする上で、一番のポイントは自らの給料であると言っても過言ではないでしょう。どんなに世の中が景気が良くなったと報道でいわれていたとしても実感がないと景気が上昇したなんて思いはしないでしょう。
結局どのような経済統計や指標をならべられたとしても、自分に関係のないことであれば興味はないでしょう。それだけ実感というのはその人の判断をする上で重要であるといえます。
では、本当に景気上昇とともに、平均年収は上がっているのかというと、そこまで上がっていないというのが実情といえます。
その証拠として、厚生労働省の調査結果を見ていただきましょう。2007年以降の平均年収で、ポイントとなる数字をいくつかご覧いただきたいと思います。
- 2007年:437万円
- 2008年:430万円
- 2012年:408万円
- 2015年:420万円
- 2016年:422万円
- 2017年:432万円
- 2018年:440万円
これを見ると、さすがにここ数年は上昇していますが、しかしよくよく見れば、10年前の平均年収に戻っただけであるといえます。
なぜ、このように給料が上がらないのかというと、90年代~2000年代の未曾有の大不景気を経験している会社が、いざとなった時の内部留保をためておくために、従業員にに還元するよりも、自社にストックしておくということが優先されています。
バブル景気のころは、とにかく景気が悪化するなんてことは考えていなかったですし、社員は家族という価値観が強かったため社員還元も多くなされていなかったため、どんなに景気が良くなろうが、会社の売り上げが上がろうが社員に給料として提供されないという現状が起きているといえるのです。
なかなか世知辛い状況であることが、世の中の方々が景気上昇を感じられていない要因となっているのです。
非正規雇用が増えている
今世の中で重要視されていることは「効率化」です。
つまり、正社員にさせるべき仕事を限定し、派遣社員やパートで業務が完結するものについてはドライに正規雇用をさせないような時代にしています。つまり、仕事は外部にアウトソーシングさせる、パートと正社員の分業させ、簡単なしごとは非正規社員にさせるなど正社員とパートの差が激しくなっています。
今、日本は働き方改革において同一労働、同一賃金ということを徹底し、正社員と非正規社員の雇用格差をなくしてこようとしています。
確かに、この国の動きに対して非正規雇用の社員を希望者は全員正社員にするなどの方法で人材定着を図っている会社も出てきていますが、大半の企業においては、正社員の業務と非正規社員の業務を完全に分業化をさせてきているのです。
今全労働者における非正規社員の割合は20%程度という厚生労働省の調査結果が出ていますが、少なくともこの20%の方々が、正社員で採用されない自身の雇用条件が良くならないことから、景気が良くならないと感じるという側面もあります。
景気は見えない
景気が悪い時も、良い時も景気は目で見えるものではありません。ただ、景気が悪いということは、上述でもお伝えしたように仕事がない、仕事があったとしても給料が安ければ実感しやすいところです。
しかし、景気が良くなって多少なりとも給料は上昇している方も多いのですが、そんなに劇的に収入が増えているわけではないので、自分の実力、業務能力があるというような認識になりやすいのでそれが景気のおかけであるという実感はしずらいところではあるでしょう。
また、転職に関してもそうです。
サブプライムローン問題やリーマンショックの時代には転職はほとんどできる状況ではなかったのに、現状としては非常に転職がしやすい市場になっていることを景気のおかげであるという認識を持っている人も人材業界で働いている人や企業人事で働いて入る人ではない限り感じるのは難しいでしょう。
景気が目に見えないものであるという根本的な原因も景気上昇を実感しずらいところであるといえます。
富の2極分化
昔の日本は、全てが中流社会であることが特徴であるといえました。
しかし、今はその構造がこわれていて、富が回ってくる人とそうでない人、つまりお金持ちと貧困層が2分化している構造になりつつあると言われます。
その要因としてはAI化が進んできていること、日本の産業が成長率が高くならなくて中流層に回るお金が無くなってきたなど色々なことが考えられますが、一つ間違いなく言えることは、座して
お金を稼ぐことは難しい時代になってきているということです。
もしかしたらサラリーマン収入だけでお金を求めることそのものがもしかしたらこれからを生き抜くうえで誤った施策なのかもしれません。
お金を振り込まれるのを待つのではなく、自らでお金を掴みにいかなければ、お金はついてこない時代になったことをキャッチアップできていない方というのは、バブル崩壊、サブプライムショック、リーマンショックを経て景気が良くなったことを実感できなくなる素地が形成されてきたということが言えるのです。
景気が良くなってもお金がもらえない時代が来た
内閣府では、街角景気指数という人々の景気における実感という数値も計測しているくらい、人々が景気に対してどのように認識を大事にしています。
しかし、もはや景気の良さを実感できるのは一部の人だけで、多くの人が景気の良さを実感できないような時代が到来しつつあります。
なぜなら、いくら景気が良くなろうとも、富が労働者にいきわたらい、もっといえば給料が上がらないと景気を実感できないものです。そして、景気が良いのに景気が悪いと実感する人は今後増えていくことでしょう。
それだけ今の状況というのは非常に深刻であるということが言えるでしょう。
しかし、不景気だ、景気が良くならない、給料が上がらないと嘆いているうちは、この好景気の恩恵を得られないということになります。
この好景気の恩恵を受けられる人の特徴というのは、この好景気の恩恵を受けるために行動ができる人であるといえます。
どうすれば、この好景気の恩恵を受けられるのか、それは転職なのか、副業なのか、自分の仕事を見直して改善を図り評価を上げることなのかは個々の判断によりますが、一番良くないことは自分の暮らし向きが良くならないからといって不満ばかり述べて、与えられた仕事だけをこなし、何も考えない、そして何も行動をしない人です。
この好景気の恩恵を受けるためには、何が必要なのでしょうか。自分の現状をしっかり確認をして、しっかりアクションをすることが大事であるといえます
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