転職関連サービスのテレビCMやメディアでは転職してキャリアアップをしようといった旨のメッセージを発せらるることがあります。
キャリアアップと聞くと確かに耳障りが良くて自分もキャリアアップのために転職したいと思う人もいらっしゃることでしょう。
しかしその安易な発想は危険です。では、なぜキャリアアップ転職は危険なのかについて本編では説明いたします。
そもそもキャリアアップとは?
まずは、キャリアアップとは何なのかについてお話をいたします。
キャリアアップとは以下3点を向上させるということを指します
- 業務遂行能力
- 経歴
- 高い地位や高給職への転職
つまり、キャリアアップを果たすために転職をしたいということは、業務遂行能力が上がる、経歴がかっこよくなり、高い地位が与えられて、給料も上がるというパラダイスを求めているということになります。
しかし、そんな都合のいい話はありません。
もちろん皆さんご理解をされているとは思いますが、キャリアアップのために転職をしますという人はこのような都合の良いことを話しているという事を理解してください。
キャリアアップの機会を得るための転職はあるかもしれませんが、キャリアアップのための転職は厳密に言えばないということを理解しましょう。
キャリアアップ転職という人の心理
では、転職の理由をキャリアアップという人の心理についてお話いたします。
一般的に転職理由を問うてキャリアアップだと答える方には以下の傾向があります。
- キャリアアップという響きがいいから
- 年収を上げたいを耳あたりがよく伝えるため
- ネガティブな理由ばかり並べないように
以下それぞれ説明を加えていきます。
キャリアアップという響きがいいから
上述でも触れましたがキャリアアップというとどことなく響きがよく自分が前向きな転職をしているように演出することができます。
転職における常識のような形で後ろ向きな転職というのは良くないという通説があり、後ろ向きなことを言わないようにするための施策として用いられるケースが多いです。
年収を上げたいを耳あたりがよく伝えるため
感覚値ではありますが、転職をしたい人の本音としてやはり年収を上げたいという気持ちが大なり小なりあります。
しかし、年収アップを露骨に伝えることは必ずしも良いとは捉えられないためキャリアアップという耳障りの良い言葉を用いて印象を悪くしないようにしているという側面もあります。
ネガティブな理由ばかり並べないように
転職理由としては得てしてネガティブなものになりがちです。
それを少しでも打ち消すためにマイナスな理由を並べたあとに後付けのようにキャリアアップという言葉を用いるケースも多くあります。
そもそも転職理由はマイナスでいい
上述でお伝えしたようにマイナスな理由を打ち消しためにキャリアアップという言葉を多用する傾向にありますが、そもそも勘違いしていただきたくないのは、転職理由はマイナスであって良いのです。
なぜなら、採用側は求職者が転職するのはそれ相応の理由があると考えていますし、少なくとも本気で転職したいと考えている人に内定を出したいと考えるからです。
転職活動は非常にエネルギーを費やしますし、会社に退職しますと伝え、退職交渉を進めていくことは非常に厳しいことです。
それをやりきるためには転職するだけの決定的な理由が必要になります。だからこそ転職理由はマイナスなことであっても問題がないのです。
ただし、自身で改善努力できるものはある程度しないと認めてはもらえません。
例えば成果が出せないならそれ相応の努力をした、人間関係が良くないなら積極的に自分でコミュニケーションを取ろうとしたなどの対応をしたという前提がないとそれは納得してもらえません。
マイナスな理由で、自分がなんとも出来ないことというのが認められる転職理由であると言えます。
キャリアアップを転職理由とするのなら
それでもなお、キャリアアップが転職理由であるというのなら、大切なことはキャリアアップという言葉を使わず自分の言葉に因数分解する必要があります。
どういうことかというと、例えば現在卸売営業をしている方がメーカーに転職しキャリアアップしたいと言った時に以下のような事を伝えることが出来ます。
- 具体的な製品を提案できるような営業をしたい
- 将来的に年収を上げられる観客に行きたい
- 特定の分野の専門知識を高めたい
ここでお伝えしたいことはキャリアアップというステレオタイプな言葉を使わずに、キャリアアップをしっかり自分の言葉で説明をしていけるようにしていただきたいということです。
キャリアアップとは一定の定義がありますがその捉え方は千差万別です。
上記で挙げた例で言うのならば、卸売業の方はユーザー、エンドユーザーと近い距離で接していても実際の製品について詳しいのはメーカーの営業です。
そのため、顧客と商談を進めても最後はメーカーの営業が成約を決めるため、その立場にいきたい、しかもメーカーの営業のほうが給与の伸び率は高いし、今の仕事は広く浅く製品を扱っているのでもっと専門性を高めたいと言えば非常にリアリティーがあります。
このように大事なのは、転職理由を語る際にはキャリアアップという万人向けの言葉ではなく、自らが仕事をするにあたって何を変えたいかという思いです。
それは何なのか具体的事実を元に振り返りましょう。
キャリアアップとキャリアチェンジは違う
よく転職を希望する方のなかで、キャリアアップを目指したいと言っているのに、他の業界・職種を志望する方がいますが根本的に間違っています。
なぜなら、それはキャリアアップではなくキャリアチェンジだからです。
キャリアアップは今の仕事の領域を広げるか、深めるかのどちらかを行い、いまよりレベルの高い仕事をする、そして年収を上げることを指します。
対して、キャリアチェンジはいままでやってきた経験を犠牲にしても新しい何かを獲得するための行為です。その目的は全く異なります。
基本的に面接の中で論理破綻した求職者というのは評価されません。もし、別業界を志すうえで、キャリアアップしたいといった志望理由を話したのならば何を考えているのだろうと解釈される可能性も否定できません。
上述の通りキャリアアップという言葉を丸々使うこともおすすめしませんが、それ以上にキャリアアップという言葉の使い方が間違っているというのも評価を下げる要因になり得ます。
そういった観点からもキャリアアップという言葉を安易に使うことは控えたほうが良いです。
まとめ
キャリアアップのための転職、そのことは悪いことでもなく、むしろ前向きで良いです。ただ、本当の意味でのキャリアアップをしようとして転職をしているなか今一度自身に問いかけてください。
キャリアアップとは今の仕事を基軸とすることが大前提で、そこから深掘りしたい、テリトリーを広げることが根底にあります。そのことを改めて理解してください。
そのうえで、なるべくキャリアアップという言葉を使わないようにしましょう。今の仕事を継続する上での課題・困ったことは何なのかということ、またその課題を解決し、自分は将来的にどうなりたいのかをしっかり考え自分の言葉にしましょう。
世間一般で使われるステレオタイプな言葉には採用企業は引き付けられなですし、何より自分自身も思考停止をしてしまいます。
キャリアアップをしたい方は矛盾しているかもしれませんが、キャリアアップという言葉から離れて自分の今の仕事をどう発展させたいか具体的な言葉にすることがキャリアアップを目指せる鍵だと認識をしていただきたいです。
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