お仕事の中で、けがや病気になることも珍しくありません。
肉体仕事であれば当然怪我も想定されますし、うつ病や交通事故の可能性もあります。
特に、うつ病は顕著で、年々罹患者が増えている現状もあります。
その一方、どのようにして労災が認定されるかご存じない方も多いことでしょう。
そこで、本編はどうすれは労災が認定されるのかなど労災における基礎知識について説明をさせていただきます。
労災とは?
まずは、労災の定義について振り返りたいとおもいます。
労災とは、ご認識の通り、仕事のなかで、もしくは通勤、退勤が原因で、労働者に起きたケガ、病気、死亡などのことを差します。
もし、労災が発生した場合には、そのケガや病気、死亡に対して治療費等を支払わなければならないことになっています。
しかし、すべての会社がその補償金を支払われるわけではないため、労災保険に加入し、労災事象が発生した場合には国から補償してもらう仕組みとなっているのです。
労災と認められるには
では、労災と認められるにはどんな点が満たされているのかですが、具体的には以下3点が挙げられます。
業務上、もしくは通勤退勤が原因で発生したものかに
上述でもお伝えしましたが、労災と認められるには業務中におきたことなのか、通勤退勤に関することが原因で発生した病気、ケガ等なのかがまず労災と認められるかどうかを判断する基準となります。
これを判断するのは、該当地域を管轄している労働基準監督署長となり、申請書類の内容から判断して労働基準監督署が決定することになります。
業務が理由でケガや病気があった場合は、倉庫内作業で荷物の崩落が原因で骨折した、建設現場の粉塵に肺をやられ、肺炎になったなどの具体的におきたことを説明するといったようなことを申請書類に記載することになると考えてください。
1つポイントなのがうつ病に関してです。うつ病はパワハラやいじめが原因で・・・と記載することになりますが、事実認定や鬱の理由と事象の因果関係がイコールになるかどうか判断が難しくなる傾向にありますのでその点は予め認識しておいたほうが良いです。
病気、ケガ、死亡等をしたのが従業員である
労災保険の対象者は当然ですが労働者だと法律では定義されています。
どこまでが労働者に該当するのかですが、基本的には役員、取締役以外が該当することになりますが、例外もあります。
ただし、中小企業やベンチャー企業で役員となった場合は労働者として認定される場合があります。
この場合は、特別加入という手続きを取り、労災対象と国に認めてもらうということを行っておきましょう。
労働者が労災保険法に定められた保険事故が発生していること
労働者に、「ケガ、病気、障害、死亡等」といった、労災保険法決められている保険事故が、具体的に発生していることが必要となります。
労災保険法には「ケガ、病気、障害、死亡等」の定義が決められており、それに該当するかが労災認定されるポイントとなります。
労災認定されたらどうなるか
上記に該当し、労災認定されたらどのような補償を受けられるのかというと、以下の通りです。
- 病気、ケガ等に関する治療にかかる治療費等
- 病気、ケガが治るまで仕事を休んだ分の賃金補償
- 後遺症が残った場合の年金または一時金
- 死亡した労働者の遺族補償
- 死亡した労働者のお葬式代
- ケガ、病気等をした労働者が介護を受ける場合の費用
受け取り日数など細かなルールはありますが、非常に手厚い補償が受けられるということが言えるのです。
労災に関してありがちなトラブル
では、どのような労災に関するトラブルがあるのかについてお話をさせて頂きたいと思います。
事業主が労災申請に消極的になる
労災の申請は、労働者本人もしくは、労働事故で死亡した場合の遺族が実施するのが大前提ですが、会社が労災事故の発生日時、場所、出勤状況の確認などを会社にしてもらわなければなりません。
しかし、会社からすればこれは非常にありがたくないです。なぜなら、労災申請に協力することで、会社がの労働環境が悪いです、ブラックです、会社に問題があるということを証明してしまうことになる可能性も十分あります。
では、どう解決するのかというと、会社から証明を得られなかったと上申書を添えることで労災申請を受け付けてもらえますので労働基準監督署に相談をしましょう。
労災認定が労働基準監督署から却下された
申請をしたものの、労働基準監督署長の判断により却下される場合もあります。しかし、即あきらめなければならないのかと言えばそういうわけでもありません。
労働基準監督署に労災申請が却下されたことが納得いかない場合は、労働保険審査会というところに、再審査請求をすることが可能です。
うつ病の場合は、業務との因果関係が争点になることが多いので、場合によっては弁護士に相談することも検討しましょう。
労災保険に入っていない、もしくは自分が労災保険の対象者ではなかった場合
中小企業において、たまに見られるケースですが、ふたを開けてみたら会社が労災保険に未加入だったというケースがあります。しかし、労災保険はすべての会社、労働者に加入義務があります。
そのため、仮に会社が未加入であったとしても、労働基準監督署に申請をすることで法律に定められた通り、保証金などの給付を労災保険から支払ってもらうことができます。
ただし、会社側は違法行為となるので、支払っていない保険料の納付や、未払いのペナルティーをうけることとなります。そのため、当たり前ですが会社側から証明を受け取れるわけではないのでその点はしっかり認識しておきましょう。
また、会社は労災保険に加入しているにもかかわらず、自分が、労災保険の受け取り対象ではないというケースもふたを開けたら発覚するケースもたまにあります。もちろん役員や取り締まりとして採用されている場合は、当然労働者として認定されるわけはないのでやむを得ないですが、会社から採用の際に言い渡されていた契約内容と、実際の契約内容が異なっていたという場合は労災対象になるべきなのに、実際はそうでなかったということがあり得ます。
しかし、この場合は労働者かどうかというのは、どのような労働契約を行っているのか、また労働実態はどのようだったのかで判断されることになります。
もし、こういった労災関連のトラブルが発生した場合は、労働基準監督署に相談し、埒が明かない場合は、弁護士に相談していくということが必要であるといえます。
労災事象は多くはないかもしれないが非常に重要!基本的なルールは押さえておこう
労災は、職場にもよりますが、そんなに多く起きないことなので、なんとなく知っておこうという気持ちがが起きなくなるルールではあります。しかし、いざ、労災事象が発生したとき、会社に泣き寝入りしてしまう、知らなかったので大事なことを見過ごしてしまったなんてことも容易に想像されることです。
実際は労災認定を受け、費用なお金や補償が受けられたのに、それが実現できなかったら、泣くに泣けません。
そのため、どうすれば労災が認定されるのか、労災認定を受ける際に会社が協力してくれなかった、もしくは労働基準監督署からNOを突き付けられた際にどうしなければならないか認識しておくことが大事です。
本章でご紹介したことは非常に基本的なことですので、ぜひ知って頂けると幸いです。
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