社内失業という言葉をご存じでしょうか。あまり聞きなれない言葉かもしれませんが、実は、今労働の現場で、とりわけ大手企業の中で非常に多く発生しており、その状況は非常に深刻視されている事象となっています。
そこで、本編では、社内失業について、その実態、および対処法についてお話をしていきたいと思います。
社内失業とはどのようなもの?
まずは、社内失業についてどのようなのかについて押さえていきたいと思います。
社内失業とは、名前の通り、特定の企業に在籍しているにもかかわらず、実質的に仕事がない、ただ会社から給料をもらっている状態のことを指します。
そんなわけない、うちの会社ではそんな余裕はあるはずもないなんて思っている方も多いでしょう。
特に中小企業に在籍している方の場合だと、人材不足こっちは猫の手も借りたいのに・・・なんて思っている方もいらっしゃることでしょう。
しかし、大手人材会社エン・ジャパン社の調査によると、社内失業者の数は、現在日本国内で400万人ほどいるという調査結果が出ており、この数はさらに増えているとことが想定されています。
以上の状態からも、社内失業の状況は認知度の割に、かなり深刻であるということが言えるのです。
なぜ発生する?社内失業者が出てきてしまう背景
では、なぜ社内失業となるような人員が出てきてしま労働組合ょうか。
その要因としては以下のようなことが挙げられます。
- 該当社員の能力不足
- 能力はあっても、その社員を受け入れる先がない
- 人間関係が悪くて特定の社員に仕事を振らない
- 会社の教育力不足
- 労働環境の変化
社内失業が発生してしまう要因として、個々人の問題、また、会社の問題などあらゆる背景があることは事実としてありますが、まず、仕事ができないため仕事が振れないというのは大きな要因となっており、社内失業を生みだしている大きな理由の1つとなっているという事実があります。
しかし、その社員だけのせいではなく、会社にそもそも人材開発をする能力が備わっていないため、人員の育成ができないという社内体制が起因している場合、実際は人間関係が悪くて仕事をしっかり任せていないだけで、特定の人員がチャレンジする機会がないという可能性もあります。
また、社会環境、就労環境などは刻一刻と変化していて、これまで継続したビジネスをやらなくなった結果、特定の人員の社内における行き場がなくなったというケースも散見されるのが現状です。
特に、大企業において、社内でのみ通用するスキルを磨き続けた結果、転職市場では採用したいと思われなくなっている、社内でも必要とされていないのは分かっているが、転職もできないので社内じっと耐えているという人は現状においてもいますし、今後さらに増えていくことが想定されているのです。
なお、社内失業に関しては、大企業を中心にお話をしておりますが、これは何も大手企業にだけ限ったことではありません。
AIの進化などを背景にして中小企業でも、労働・就労環境の変化に対して対応できない人は増えていきますし、この現状は、ITに弱い40代、50代といったシニアクラスだけではなく、20代の若手であっても同様です。
もちろん目の前の仕事をこなすことは重要なのですが、それ以上に、自らのコアとなるスキルを獲得し、社内だけでは留まらないどの会社に行っても通用するようなスキル習得が重要であると言えます。
社内失業にならないようにするために
社内失業になってしまったら、会社側からの考え方から見たら、何も仕事をしていない従業員に給料を支払っている状況ですので、個人のキャリアとしては間違いなくプラスとならないことは間違いないですし、このまま手をくわえてそのままやり過ごしていたら、間違いなくいずれ解雇対象になったり、かりに解雇とならない場合でも60歳以降の嘱託採用等の対象にはならないので、長期的なキャリアというところでは非常に問題であると言えます。
そのため、対策を講じなければなりません。
では、具体的にどのような対策を考えればいいのかですが、以下の通りです。
- 転職できるなら転職する
- 上司・人事とキャリアに関する相談をする
- 現職の関連資格を取得するなどしてチャンスを広げる
大前提として、社内失業をしている状況から何としてでも抜け出さなければなりません。
そのためには、自らの働き場所を社外に向けていくというのは少なからず重要です。現職では、仕事ができないなどのバイアスがかかってしまっている状況なので、社外でしっかりチャンスはないかを探っていきましょう。
とはいえ、その際にどうしたらわからない場合は、まずは転職エージェントに相談に行き、自身の経歴を履歴書・職務経歴書から読み取ってもらう、または実際に転職面談を受け、アドバイスやエントリー可能求人をもらいにいくということは試しましょう。
20代であれば、未経験の仕事であったとしても、人物採用をする会社がおおいため、新たなチャンスを見出すことができるようになるでしょう。
また、30代以降の方であっても、どんな能力が採用企業の目に留まるのかわかりません。
特に、特殊すぎて今の会社においては重宝されなないものの、秀でた経験、能力などがあれば他の会社で前向きにとらえてもらえるケースというのもあります。
しかし、それでもうまくいかないのであれば、現職の上司や人事部となんとか話をする機会を設定し、自身の仕事に関する相談をしてみましょう。会社側も社内失業をしている人をそのまま野放しにしておくことはできないでしょうし、少なくとも何もしないよりはアクションを起こしましょう。
また、まともな会社の人事であれば社員のキャリアについて、社内失業が起きている状況について何もしないということはないでしょう。
自らが行動しなかったとしても、上司を通じて、もしくは人事が直接ヒアリングの場を設ける可能性はありますが、それを待っているのも時間がもったいないので、なるべく自分から行動するのが適正であると言えます。
とはいえ、何も根拠がないのに異動させてくださいといっても、受け入れ先がなければ異動がかなわないのが通常です。
そのため、仕事に直接役立つ関連資格などを習得し、会社に報告をしましょう。会社はその報告内容を見て、人事異動を行うということは珍しいことではありません。
会社の人事側としても、新たな能力をつけたことが確認できるため、他チームや他部署、他職種への異動先として受け入れ対象として一考してもらえる可能性が上がります。
何もしなければ何も得られません。社内失業となっていると自らが認識しているのであればとにもかくにもまずは何かしらのアクションを取るということが重要になってくるのです。
社内失業は今後重要な問題となる
社内失業がおきる背景として、人員配置というのは非常に難しいうえ、育成もまた輪をかけて難しいことなので発生します。
しかも、今後はAI化社会で、あらゆる仕事を、AIがやってしまう時代がもうすぐそこまで来ています。実際、それを受けて銀行では採用人数を減らしてきて、減らした人員の分をAIにやってもらえるような段取りまでできているのです。
これに対抗するには、自らのスキルを向上させなければならないし、既に社内失業しているのならば、転職活動などの行動が必要です。
今社内失業している方も、していない方も、自らのキャリアについてしっかり見つめていただけたらと思います。
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