転職活動で最も大変なのは内定を取ることだとお考えの方もいらっしゃるかもしれません。しかし、声を大にして言いたいのは退職交渉です。
今までお世話になった会社を辞めるというのは勇気が要りますし、自分の想定したスケジュール通り辞めさせてくれないケースもあります。
では、どうやればうまく辞められるのでしょうか。本編では上手な退職交渉の進め方をご紹介したいと思います。
なぜ難航する?退職交渉のメカニズム
ではなぜ退職交渉は難航することが多くなるのでしょうか。それは以下の理由によります。
- 目の前の仕事を終わらせる人が減るので困る
- 新たに人を探してくるのは大変
- 上司の評価に関わってくる
ではそれぞれ説明をいたします。
目の前の仕事を終わらせる人が減るので困る
特に中小企業にとっては一人の人材がいなくなるということは死活問題です。なぜなら、仕事が減らなかったと仮定した場合、今までの100%で回っていた仕事が1人いなくなることで同じ労働時間で働いた場合、80%〜90%程度しか仕事しかこなせなくなってしまいます。
そのため、1人辺りの残業時間が増える、場合によっては仕事が終わらなくなってしまいます。
営業職の場合だと、1人いなくなると複数の顧客対応ができなくなり、会社全体の売上を落としてしまうことも珍しくありません。
ましてや優秀な人材であればさらに会社に対する打撃は強くなります。
本当に人材の流出というのは会社にとって死活問題なのです。
新たに人を探してくるのは大変
人材が1人抜けたら基本的には新しい人材を探すのが通常です。しかし、人1人採用するのは案外難しいものです。
しかも採用にはコストがかかります。例えば転職エージェント経由で500万円の年収を出して採用をした場合、契約にもよりますが150万円程度のコストがかかります。
採用には手間もお金もかかります。だからこそ、会社としては人材には辞めて欲しくはないのです。
上司の評価に関わってくる
会社にもよりますが、管理職にとっては自身の配下の社員が辞めるということは自分自身の人事評価が下がることに繋がります。
自身の評価を下げたくないと思うのは当然のことです。そういった観点からも辞めてほしくはないと考えるのです。
どんな手で退職を阻む?退職交渉で会社側がよくやること
上述でなぜ会社側が人材の退職を阻むのか理解してもらえたと思います。では、どのような手で退職を思い留まらせるかをかをご紹介します。
- 情に訴えかける
- カウンターオファー
- 退職日を後倒しにさせる
以下それぞれ説明をいたします。
情に訴えかける
一般的に最初に発する残留要請の言葉としては、「一緒に頑張ろう」、「あなたが必要」といった情に訴えかけるような言葉をかけます。
情に訴えかけ、自社に残ってもらうように説得します。
ちなみに、余談ですが下手な残留交渉の代表的な方法は、怒る、恫喝をするといった対応です。そういう対応をされたら、退職交渉をしている人材側としては「こんなことしてくる会社には居られない」という発想になります。
少し話がずれましたが退職交渉の入りは情に訴えてくるか怒り狂ってくるかの何れかが一般的になります。
本当に退職し新しい道に行きたいのなら、情に訴えてこようが怒り狂ってこようが意思は変えないという確固たる意志が大事になります。
カウンターオファー
カウンターオファーとは、他社からでたオファーに対して断らせるために自社で年収アップや昇進をちらつかせるようなオファーのことを指します。
一見よさそうに見えますが本質的にはあまりメリットはありません。なぜなら、人にもよるかとは思いますが、今いる会社を辞めようとしているにはそれ相応の理由があり、それを解消するために転職という選択をしたはずです。
しかし、現職に留まることでその課題を解決できなくなります。
またそれが金銭的な理由であり、カウンターオファーで年収アップを果たしたとしても会社の体質は変わりません。
カウンターオファーで提示した金額はある種の前借りみたいなものです。どういうことかというと、数年後に上げる予定の年収をカウンターオファーの時に挙げたということになるため、それから先年収を上げにくくなります。
カウンターオファーは一見よさそうに見えても本質的にはなにも解決しないということを認識しておきましょう。
退職日を後倒しにさせる
通常、退職日に関しては退職交渉開始から最短2週間から長くても1ヶ月半程度となるのが通常です。
しかし、なかには2ヶ月〜3ヶ月、中には半年といった法外なスケジュールを提示されるケースも少なくありません。
一方で採用企業は入社時期をそんなに待ってはくれません。結果内定取消になり、恩赦で会社に残るというシナリオもあります。
つまり、退職交渉から2ヶ月以上の在籍を求めてきた場合、内定取消のシナリオを疑ってかかった方が良いということになります。
そして、このシナリオこそが退職交渉においてもっとも厄介で対策が必要な事項であることを認識してください。
退職日を後倒しにさせないようにするために
上述でもお伝えしたように、退職交渉において、退職日を伸ばされることがもっとも厄介です。
では、どのように対策すればよいのかを説明したいと思います。
退職交渉において、2週間〜1ヶ月半で退職できない要因として現職側が上げてくるのが引き継ぎに時間がかかるという論理です。
それに対抗するためにはあらかじめ引き継ぎの準備をしておくことが望ましいです。
ではどのように準備をすればよいかというと以下の通りです。
- 引き継ぎの準備を転職活動中から行う
- 予め引き継ぎにかかる時間を算出する
- 引き継ぎで現職側が言いそうなことを想定して潰す
引き継ぎはまともにやればやるほど時間がかかります。そのため、自分が会社を辞めると決めたときから転職に向けて引き継ぎのアクションを取っていくと引き継ぎは非常に楽に進めます。
自分だけでできることは仕事の合間を縫って対応しつつ、引き継ぎにかかる時間は全体でどれくらいかを計算して、その根拠を明確にしましょう。
すると、引き継ぎに2〜3ヶ月要するという根拠を崩せることになります。また、2〜3ヶ月かかる根拠として提示しそうなことを事前に想定されるのならば、それを潰す論理を考えておくと良いです。
例えば営業の場合であれば全ての顧客先を回らなければならない等の事を言ってくることが想定されるのならば、最短ルートでの引き継ぎを提案するか、訪問せずに引き継ぎを行える企業をリストアップしておくなどの対応ができます。
このように全て理詰めで会社側の要求を突っぱねると、たまに怒りだす上司や経営者もいますが、それは明解に反論する材料からそのような対応を取るのです。
あまり上司、経営者の反応に一喜一憂せず淡々と交渉を進めましょう。
最悪の場合は人任せで退職をしよう
あまりおすすめはしませんが退職交渉がどうしてもうまくいかない場合は退職代行というサービスがあります。
3万円程度払えば現職と退職交渉をしてくれるサービスです。仮にもお世話になった会社に対して不義理を働くことにも繋がります
とはいえ、退職交渉がにっちもさっちもいかないのなら、外部の方に任せるというのも、取りうる手法だと認識してください。
まとめ
退職交渉はある意味内定をもらうより大変なフェイズです。特に退職日の決定は現職と争いの種を生むことも少なくありません。
円満退社を目指すために言われるがまま現職側がいうスケジュールを受け入れようとする方もいますが、これは退職「交渉」です。
自身の意思を通すために、また現職側の意向をある程度落としどころをさぐっていき、着地させることが大事です。
よい転職になるようになるため、退職交渉ではしっかり「交渉」をしていきましょう。
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